頭位を下げる手術体位は下垂体卒中を誘発する

公開日:

2018年9月22日  

最終更新日:

2018年9月22日

The dangers of the "Head Down" position in patients with untreated pituitary macroadenomas: case series and review of literature.

Author:

Kiyofuji S  et al.

Affiliation:

Department of Neurologic Surgery, Mayo Clinic,Rochester, MN, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:29236218]

ジャーナル名:Pituitary.
発行年月:2018 Jun
巻数:21(3)
開始ページ:231

【背景】

下垂体卒中の誘因には,高血圧,抗血栓療法,頭部外傷,ドパミンアゴニスト(プロラクチノーマに対する)投与,エストロゲン投与,LH-RH製剤投与,妊娠など様々なものが知られている.Mayo Clinicからは手術におけるhead down positionのリスクが報告された.

【結論】

一例は,トレンデンブルグ体位でのロボット支援下の膀胱癌摘出術後,もう一例はhead down腹臥位での腰椎椎弓切除+椎間板除去術後,麻酔覚醒時に海綿静脈洞症状を呈した.症例1では初回手術後5日目,症例2では手術後8日目に経鼻経蝶形骨洞手術が施行され,急性梗塞に陥った下垂体腺腫が全摘出された.

【評価】

症例1は膀胱癌摘出前のステージ判定のための頭部MRIで,両側海綿静脈洞に浸潤する大型の下垂体腺腫が存在することがわかっていたが,悪性腫瘍の治療を優先させたもので,症例2は腰椎手術後に下垂体腺腫がはじめてわかった症例である.Head down positionによる手術後の下垂体卒中はこれまで2例が報告されているが(文献1,2),head down positionによる頭蓋内圧亢進,静脈灌流の低下,周囲構造と腫瘍の位置関係の変化,術中低血圧が腺腫内梗塞につながった可能性を著者等は推測している.本報告の症例1は悪性腫瘍を有する患者で過凝固状態にあったことも関与していると思われる.さまざまな手術で,head down positionが採用されるが,本邦でも急速に普及しつつあるロボット支援手術(ダビンチなど)では,20〜30°のhead down positionはルーチンで採用されている.既に,脳動脈瘤の有無のスクリーニングは,ダビンチ手術前に行われているが,下垂体腺腫もスクリーニングの対象になるのかも知れない.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

参考サマリー


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