Adamantinomatous typeの頭蓋咽頭腫にみられるCTNNB1遺伝子変異の有無による特徴と再発リスク

公開日:

2018年11月6日  

最終更新日:

2018年11月6日

Clinical and biological significance of adamantinomatous craniopharyngioma with CTNNB1 mutation.

Author:

Hara T  et al.

Affiliation:

Departments of Neurosurgery, Faculty of Medicine, University of Tsukuba, Tsukuba, Ibaraki, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:30074466]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2018 Aug
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

頭蓋咽頭腫瘍は病理組織学的に2種類に分類され,CTNNB1(βcatenin)遺伝子変異がadamantinomatous typeで,BRAF V600Eの変異がpapillary typeで知られている(文献1).近年ではBRAFに対する分子標的薬が再発症例の治療に使用されたとの報告もある一方で,adamantinomatous typeではこれまでに分子標的薬治療の報告はない.本研究ではCTNNB1の遺伝子変異に着目し,adamantinomatous typeの遺伝子変異解析,免疫組織解析,臨床所見との相関解析を行い,今後の分子標的薬治療に有意義なサブタイプ分類をする事を目的とした.

【結論】

Adamantinomatous typeの68%でCTNNB1のmutationが認められた.Axin2のmRNA発現量はCTNNB1 mutation群が有意に高値であった.術後の放射線照射が行われた症例を除いた症例群で比較したところ,CTNNB1遺伝子変異陽性は再発との相関が示唆され,CTNNB1遺伝子変異がWnt/β-cateninシグナルを増強し,再発リスクの増大に寄与しや今後の新規治療の対象となっていく可能性が示唆された.

【評価】

本論文は近年になり明らかになりつつある頭蓋咽頭腫における遺伝子変異の特徴についてまとめた報告である.これまでにCTNNB1遺伝子変異の有無によるadamantinomatous typeの特徴が解析された報告は無く,その点では初めての報告である.遺伝子変異陽性群の方が再発リスクの増大する事や,放射線治療症例では再発が少ない事,Wnt/β-cateninシグナル経路の活性化が起きている事,などは新規に報告された事となる.現在は脳腫瘍の分野でも遺伝子変異解析は必須の情報になりつつある.今後はこうした変異に応じて分子標的薬治療などの研究が進んでいく事が予想され,そのための土台となる報告として評価できる.症例数に関して他の参考文献より少ない事,Wnt/β-cateninシグナル経路の他の遺伝子に関しては解析がなされていない事,等がlimitationになる.Wnt/β-cateninシグナル経路関連の他の遺伝子解析や,エピジェネティクスな解析を行う事が今後の分子標的薬治療を想定する際には必要になると考える(文献2).

執筆者: 

原 拓真   

監修者: 

藤尾信吾

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