OGTTの時の成長ホルモンの奇異性上昇がソマトスタチン作動薬の効果を予測する

公開日:

2018年11月1日  

最終更新日:

2018年11月2日

Paradoxical GH increase during OGTT is associated to first-generation somatostatin analogs responsiveness in acromegaly.

Author:

Scaroni C  et al.

Affiliation:

Department of Human Pathology in Adulthood and Childhood "G. Barresi", University of Messina, Messina, Italy

⇒ PubMedで読む[PMID:30285115]

ジャーナル名:J Clin Endocrinol Metab.
発行年月:2018 Oct
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

経口糖負荷試験(OGTt)における成長ホルモン(GH)の反応性は,その底値が重視され,診断(>0.4 µg/L)や治療効果の判定に用いられてきた.しかし,それ以上の利用,例えば,その反応パターンと先端巨大症の臨床像あるいは治療反応性との相関については検討されることが少なかった.イタリアPadova大学のScaroniらは,496例の先端巨大症の患者を対象としてOGTtを施行,その結果,GH基礎値の20%以上の上昇を示したものを奇異反応(GH­Par,n=184),それ以外を非奇異反応(GH­NPar,n=312)と判定して臨床像と比較した.

【結論】

GH-Par群はGH-NPar群より高齢で(44.1土13.7 years vs 40.5土12.7,p<0.01),腫瘍径が小さく(0.82 vs 1.57 cm3,p<0.01),海綿静脈洞浸潤が少なく(15% vs 27%,p<0.01),腫瘍体積当たりのGH値が高く(14.3 vs 10.5 µg/L・cm3,p<0.05),高プロラクチン血症の合併が少なくかった(17% vs 30%,p<0.01).GH-ParはGH-NPar群に比較して,ソマトスタチン誘導体LAR長期投与に良く反応して寛解に入る可能性が高かった(52% vs 26%,p<0.01).

【評価】

この研究はイタリアの3大学で1990~2016年に実施した先端巨大症に対するOGTtの結果をまとめたものである.500例に近い圧倒的な数の力で,OGTtでGH値が20%以上上昇するものは,そうでないものに比較して高齢で,腫瘍径が小さく,海綿静脈洞浸潤が少なく,腫瘍体積当たりのGH値が高く,高プロラクチン血症の合併が少なく,ソマトスタチン誘導体に対する反応性が良いことを示した.
GH産生腺腫における奇異反応のメカニズムとしては,視床下部ソマトスタチン活性の障害やGH産生腺腫において高発現しているGIPR(glucose-dependent insulinotropic polypeptide receptor)などの関与が示唆されている.
今回示された結果は明瞭であるが,ほとんどの情報は,OGTtをやらなくても一目でわかるわけで,臨床的に意義のあるのはソマトスタチン誘導体に対する反応性である.これまでもTRH試験におけるGHの奇異性反応がオクトレオチドの効果予測因子であるという報告は認められるが(文献1,2),TRH試験は欧米ではほとんど実施されなくなった検査であり,OGTtの奇異性反応のみでその効果を予測出来ることの意義は大きい.相互(TRH試験とOGTt)の反応性の相関のメカニズムとして,著者等はやはりGIPの関与を挙げているが,詳細はわかっていない.
OGTtは先端巨大症が疑われる患者で最初に行うスクリーニング検査であるので,これでソマトスタチン作動薬に対する反応性がわかるという今回の研究結果は,その後の治療アルゴリズムを左右するので,インパクトは極めて大きい.多施設あるいはHigh volume centerで追試されるべき新知見である.

執筆者: 

藤尾信吾   

監修者: 

有田和徳

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