OGTtで奇異反応を示す先端巨大症の臨床像:大阪大学の63例

公開日:

2019年1月30日  

最終更新日:

2019年2月6日

Clinical characteristics of acromegalic patients with paradoxical growth hormone response to oral glucose load.

Author:

Mukai K  et al.

Affiliation:

Departments of Metabolic Medicine, Osarka University Graduate School of Medicine, Osaka, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:30476255]

ジャーナル名:J Clin Endocrinol Metab.
発行年月:2018 Nov
巻数: [Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

ごく最近,イタリアのチームが経口糖負荷試験OGTtに対する成長ホルモン(GH)の20%以上の奇異性上昇(反応性)が認められる先端巨大症例の特徴を明らかにしたが(文献1),大阪大学のMukaiらは,同じテーマで,日本人を対象にした臨床研究の結果をまとめた.OGTtによって,GHが30%以上上昇するものを(奇異性)反応例とした.N=63(反応群19例,非反応群44例)

【結論】

OGTtに対する反応群は,非反応群に比較して,IGF-1のSDスコアが高かった.糖代謝パラメーターに関しては,反応群ではHbA1c,糖負荷120分後の血糖値とIRIが高かった.また,オクトレチドやブロモクリプチン投与後のGHの低下は反応群の方が大きかった.術前MRIで,T2で低信号である腺腫の割合は,反応群の方が多かった.手術後では2群間のIGF-1の相違や,糖代謝パラメーターの相違は消失した.OGTtに対するGHの(奇異性)反応は先端巨大症の臨床像の評価,予測に有用であるかも知れない.

【評価】

この論文に約1ヵ月先行する論文で,イタリアのScaroni Cらは,先端巨大症500例に対するOGTtの結果をまとめ,OGTtでGH値が20%以上上昇するものは,そうでないものに比較して,高齢で,腫瘍径が小さく,海綿静脈洞浸潤が少なく,腫瘍体積当たりのGH値が高く,高プロラクチン血症の合併が少なく,ソマトスタチン誘導体(オクトレオチド,ランレオチド)に対する反応性が良いことを示した.
GH産生腺腫における奇異反応のメカニズムとしては,視床下部ソマトスタチン活性の障害や,GH産生腺腫において高発現しているGIP/GIPR(glucose-dependent insulinotropic polypeptide receptor)システムなどの関与が示唆されている(文献2,3).
本論文のMukaiらは,反応群でIGF-1が高いのは,この奇異反応によって食事のたびにGHが上昇することによると推測している.反応群におけるHbA1c,糖負荷120分後の血糖値とIRIの高値は,耐糖能障害とインスリン抵抗性がより強いことを反映しているが,これも,GHの値そのものよりは,高いIGF-1によって左右されていると考えている.また,反応群においてオクトレチドによるGHの低下率が大きいのは小腸におけるGIPを通したGH分泌抑制も加わっているためと推測している.T2強調MRIで低信号を呈するGH産生腺腫はdensely granulated typeが多く,オクトレチドによるGH低下率が大きいことが知られている.反応群でオクトレチドに対する低下反応が良好であったのは,densely granulated typeの存在が関与しているのかも知れない(本研究対象群では差はなかったが).
今回の大阪大学からの報告は,先行するイタリアからの報告と同様,OGTtに対する奇異反応がオクトレチドの効果を予測するというものであった.しかし,その他の相関する臨床パラメーターはかなり違っている.今後,この違いに関する考察が必要になる.
また,既に大阪大学のチームはTRH負荷試験(TRH-t)における奇異反応がオクトレチドの効果の有力な予測因子であることを報告しているが(文献4),本論文ではTRH-tについては語られていない.OGTtに対する反応とTRH-tに対する反応の相関はどうだったのだろうか.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する