術中蝶形骨洞エコー検査は残存腫瘍の検出に有用

公開日:

2019年4月9日  

最終更新日:

2019年4月16日

Use of intraoperative intracavitary (direct-contact) ultrasound for resection control in transsphenoidal surgery for pituitary tumors: evaluation of a microsurgical series.

Author:

Alomari A   et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Johannes Wesling Klinikum, University Hospital of Ruhr-Universität Bochum, Minden, Germany

⇒ PubMedで読む[PMID:30483982]

ジャーナル名:Acta Neurochir (Wien).
発行年月:2019 Jan
巻数:161(1)
開始ページ:109

【背景】

経蝶形骨洞手術術中の超音波経過はリアルタイムモニタリングとして既に1990年代に導入されているが(文献1~4),その有用性については充分な評価を受けていない.ドイツのRuhr大学Alomariらは,過去5年間,非機能性下垂体腺腫69例,機能性下垂体腺腫41例を含む113例に対して実施した術中超音波検査の結果を検討した.

【結論】

術中超音波で海綿静脈洞部内頸動脈,視神経,視交叉,前大脳動脈の検出が可能であった.術中超音波検査後65例(58%)で更なる摘出が行われた.113例全体では,手術後3~6ヵ月後のMRIにおける腫瘍の完全除去は75例(66%)で達成され,機能性腺腫における寛解は18例(44%)で達成されていた.術中残存腫瘍に対する術中超音波検査の感度は0.568で特異度は0.907であった.術中,超音波検査による有害事象は認められなかった.術中超音波検査によって,残存腫瘍を術中に発見することができ,摘出率を向上させることが出来る.

【評価】

経蝶形骨洞手術の術中画像モニタリングとして,術中MRIや術中CTの導入が進んできたが,特殊な手術室と装置が必要なため,一般化はしていない.また,撮像まで20~30分を要することもあり,即時性に欠ける.一方,手術前の画像情報に基づくナビゲーションシステムは,あくまでも仮想現実の上に手術部位をポイントとして表現させるに過ぎない.術中超音波検査は術野に小型の超音波探触子(例:小児用経食道エコー)を挿入するだけで,1分以内のタイムラグで術野の裏の解剖学的情報を明瞭に示す.カラードップラー表示をさせれば,血管系の描出も容易である.
しかしながら,本研究対象の術後MRIにおける腫瘍の完全摘出率は66%,機能性腺腫での寛解率は44%に留まっており,術中超音波検査をやったわりには根治率は低い.著者等によれば,マイクロアデノーマが7例に過ぎず,また再発例が27%を占めていたことがその理由として挙げられているが,術中超音波検査を実施しなかった群と比較してどうなのか,データが欲しいところである.
さらに,本例で用いた超音波プローブの太さは7~10mmであるので,経鼻孔手術が基本となっている内視鏡下経蝶形骨洞手術では使用出来ない.Solheimらは径3~4mmの小型プローブ(Vermon,Tours,France)を経鼻顕微鏡下経蝶形骨洞手術に利用しているが,解像力は今一歩の感がある(文献5).これとは別にHitachi-Alokaからは径3mm以下の小型のプローブ(UST-5311)も供給されているようなので,今後内視鏡下経蝶形骨洞手術での術中超音波の使用が拡大するかも知れない.

執筆者: 

藤尾信吾   

監修者: 

有田和徳

メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する