先端巨大症患者における髄膜腫の発生頻度は健常者の126倍高い

公開日:

2019年11月5日  

最終更新日:

2019年11月9日

Increased Incidence of Intracranial Meningiomas in Patients With Acromegaly.

Author:

Engelhardt J  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Hôpital Pellegrin, Bordeaux Cédex, France.

⇒ PubMedで読む[PMID:31625569]

ジャーナル名:Neurosurgery.
発行年月:2019 Oct
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

先端巨大症では,大腸癌,甲状腺を初めとした腫瘍性病変が多発しやすいことが報告されている.一方,GH,IGF-1は髄膜腫の発生に関わっていることが示唆されている.しかし,先端巨大症と髄膜腫の合併についての報告は少ない.仏Pellegrin病院のEngelhardtらは,先端巨大症患者連続221例における髄膜腫の発生数を,先端巨大症以外の下垂体腺腫患者連続357例をコントロール群として比較した.

【結論】

1.5Tか3T MRIを用いた造影 3Dグラジエントエコーで髄膜腫を検索した.先端巨大症患者における髄膜腫の有病率は,コントロール群より有意に高かった(17例 vs 8例)(7.7% vs 2.2%,P=0.005,OR=3.45[1.46;8.15]).また,前向き調査群111例の先端巨大症における髄膜腫の発生頻度は性・年齢を一致させたフランス一般人口における発生頻度よりも,はるかに高かった(SIR=126[95%CI:25;367]).

【評価】

先端巨大症患者では髄膜腫の有病率が他の下垂体腺腫患者の約3倍で,髄膜腫の年間発生率は健常者の126倍に達するという驚くべきデータである.髄膜腫細胞にはGH,IGF-1の受容体が発現しているので,過剰なGH,IGF-1によって髄膜腫の発生と成長が促進することが予想される.髄膜腫合併17例では,非合併204例に比較して年齢は高く(59.3歳 vs 53.2歳,p=0.1),他の癌を有していることが多い(35% vs. 13%,p=0.1)傾向であった.MEN-1患者は2例(11.7%)と1例(0.5%)で,髄膜腫を有する群で多かった(p=0.003).確かに,GH,IGF-1は強力な成長因子であり,先端巨大症では様々の新生物の発生が多いということは良く知られているが,他の癌の発生頻度では健常者と10倍以上も差があることはなく,最近は健常者と差がないとの報告も出てきている(文献1,2,3).
著者等も指摘しているように,健常者では造影MRIスクリーニングを行っているわけではないので,髄膜腫の検出が,実際の発生数より大幅に下廻っている可能性が高い.また,対象とした先端巨大症の前向き追跡111例では2年間に3例で髄膜腫の発生があったが,症例数,追跡年数(188人・年)が少ないので,SIRの95% CIは25~365と大きく開いている.
しかしながら,本報告のインパクトを考慮すれば,本邦においても,先端巨大症患者と他の種類の下垂体腺腫を対象に,受診時と前向き追跡期間における,髄膜腫,グリオーマなどの脳腫瘍の発生頻度は,実施されるべき研究である.その際,先端巨大症の重症度(GH,IGF-1を含む)や生化学的コントロールの状態も重要な背景因子として検討されるべきである.

執筆者: 

藤尾信吾   

監修者: 

有田和徳

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