成人の頭部外傷12ヵ月以降における下垂体機能低下症の頻度:メタアナリシス

公開日:

2020年1月15日  

最終更新日:

2020年1月16日

Prevalence of Anterior Pituitary Dysfunction Twelve Months or More following Traumatic Brain Injury in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis.

Author:

Emelifeonwu JA  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery & Centre for Clinical Brain Sciences University of Edinburgh & NHS Lothian Western General Hospital, Edinburgh, UK

⇒ PubMedで読む[PMID:31111791]

ジャーナル名:J Neurotrauma.
発行年月:2020 Jan
巻数:37(2)
開始ページ:217

【背景】

頭部外傷後の下垂体前葉機能低下症(posttraumatic pituitary dysfunction,PTPD)については,以前から知られていたが,その頻度,病態については充分に明らかではなかった.本研究はエジンバラ大学のEmelifeonwuらが行った,2017年までに出版された29研究(2004~2016発行)(2,756症例)に基づいたメタアナリシスである.報告された研究の質の評価には Newcastle‐Ottawa Scale (NOS)スコアを用いた.

【結論】

外傷後12ヵ月以降における,少なくとも1系統以上のPTPDの有病率は32%[95% CI 25 ~38%]で,NOSスコアが8以上の高品質の研究12本では34% [95% CI 27~42 ]であった.対象に軽症頭部外傷患者(GCS 13~15)が多いと,その頻度は下がった.ホルモン別の内訳では成長ホルモン分泌障害が22.1%で最も多く,続いて性腺機能低下(10.2%),副腎機能不全(9.9%),甲状腺機能低下(6.2%),高プロラクチン血症(6.2%),低プロラクチン血症(3.6%)が続いた.

【評価】

約10年前のメタアナリシスでは,頭部外傷後の下垂体機能障害の有病率は27.5%(95% CI 22.8~28.9%)と報告されているので(文献1),今回の検討でも同様の値が出たことになる.
対象となった2,756例の年齢は中央値37.45歳,GCSは中央値8(4~12)であった.
障害ホルモンの内訳は従来の報告と同様成長ホルモンが最も多く,全29研究でも,高品質研究12研究でも約22%である.
頭部外傷後の患者のうち約3割は何らかの PTPDを有していることになり,補充を受けずに放置されていることによる健康障害,QOL低下が懸念される.最近,British Neurotrauma Group guidanceからスクリーニングの方法も提案されている(文献2).少なくとも受傷時GCS8以下の中等症・重傷頭部外傷患者では退院後数ヶ月の段階での PTPDのスクリーニングは必要かも知れない.

執筆者: 

有田和徳

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