頭部CT×ディープラーニングで頭蓋内出血を診断:脳外科医呼び出しが減るか

公開日:

2018年11月1日  

最終更新日:

2018年11月1日

Deep learning algorithms for detection of critical findings in head CT scans: a retrospective study.

Author:

Sasank Chilamkurthy  et al.

Affiliation:

CT & MRI Center, Dhantoli, Nagpur, India

⇒ PubMedで読む[PMID:30318264]

ジャーナル名:Lancet.
発行年月:2018 Oct
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

近年,AIの進歩は多分野で著しく,医療界においても様々な試みがなされている.本稿は,インドの20施設における頭部CT画像313,318件から抽出した検証コホート(n=290,055)を基に自動読影アルゴリズムを作成し,同施設群より作成した再現コホート(Qure25;n=21,095),ならびに別の6施設より作成した2つの再現コホート(CQ500;n=214,n=277)を用いて診断精度を検証した後ろ向き研究である.除外項目は術後ならびに7歳未満の症例.

【結論】

Qure25kにおいて,本アルゴリズムの頭蓋内出血識別能はAUC 0.92(脳実質内;同0.90,脳室内;同0.96,硬膜下;同0.92,硬膜外;同0.93,くも膜下;0.90)であった.CQ500においては同0.94(各;0.95,0.93,0.95,0.97,0.96)であった.Qure25kにおける頭蓋冠骨折,midline shift,mass effectのAUC値は各0.92,0.93,0.86であり,CQ500においては同値各0.96,0.97,0.92であった.CQ500において,本アルゴリズムと放射線科医の診断精度を比較した際,感度に差はなかった(p>0.05)が,特異度は前者が劣った(p<0.0001).

【評価】

大規模データを用いて,頭部画像診断におけるAIの有用性が示唆された.本邦において,頭部外傷や脳卒中疑いの症例に対して頭部CTは広く施行されており,また米国をはじめ(文献1)多くの地域で救急室のCT所有率は増加傾向にあることを考慮すると,自動読影に関する技術は需要が見込まれる.頭部CTで鑑別可能な病変は,頭蓋内出血,頭蓋内圧亢進,頭蓋骨骨折などが主である.特に脳卒中疑い患者の搬入時に,頭部CTで頭蓋内出血を除外することは診断上重要であるが,本アルゴリズムは診断プロセスの短縮化や見落としの防止に効力を発揮すると考えられる.頭部CTの自動読影に関しては複数の報告があった.Grewalら(文献2)は深層学習を用いた脳出血読影について報告しており,感度0.9964,陽性的中率0.8124という結果であった.また,Prevedelloら(文献3)は50症例を検証し,脳出血,mass effect,水頭症についてAUC 0.91,急性脳梗塞疑いについて同値0.81という識別能を報告している.しかし, 出血の局在について未検証であり課題とされていた.本研究は大規模コホートを用いて高精度な画像診断能を示し,さらに出血の局在についても検証がなされている点は重要である.本アルゴリズム上,最も低精度であった硬膜下血腫で感度0.93,特異度1.00であり,頭蓋冠骨折においては感度特異度共に1.00を実現している.本研究は選択バイアスや,同群内に同一患者のフォローアップ画像を複数含んでいることによる干渉の可能性が課題であり,これらの点を含め今後前向き試験による検証が期待される.一方で,頭痛や麻痺などの簡単な情報を入力することによって感度,特異度ともさらに向上するものと思われる.救急現場,特に頭部CTやMRI読影にAIが導入されるのは,時間の問題であり,これによって脳外科医や関連領域の専門医の呼び出しの必要性は大幅に減じるであろうし,“働き方改革”にも資することが期待出来る.

執筆者: 

牧野隆太郎   

監修者: 

有田和徳

参考サマリー


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