分子時代の髄芽腫の分類

Vol.1, No.3, P.8 公開日:

2016年12月10日  

最終更新日:

2018年4月5日

Risk stratification of childhood medulloblastoma in the molecular era: the current consensus.

Author:

Constantin Roder  et al.

Affiliation:

Division of Haematology/Oncology, Hospital for Sick Children, Toronto, ON, Canada

⇒ PubMedで読む[PMID:27040285]

ジャーナル名:Acta Neuropathol.
発行年月:2016 Jun
巻数:131(6)
開始ページ:821

【背景】

髄芽腫の予後リスクは従来,年齢,転移の有無,手術による切除率,組織亜型などによって分類されていた.2010年国際エキスパートパネルは転写プロファイリングに基づいて髄芽腫をWNT, SHH, Group 3, Group 4の4グループに分類した.2015年にハイデルベルグで,こうした分子分類をもとにした,3〜17歳の小児の髄芽腫のリスク分類を決定するためのコンセンサス会議が開催された.

【結論】

5年生存率90%以上を低リスク,75〜90%を平均リスク,50〜75 %を高リスク,50%以下を超高リスク群と定義した.過去5年間に発表されたデータを元に各リスク群に含まれる髄芽腫を以下のように分類するよう提案した.
①低リスク群(治療低減が可能):WNT グループ,11番染色体全欠失で転移のないグループ 4
②標準リスク群:転移のないSHHグループ,転移のないグループ3
③高リスク群:転移のあるSHHグループ,転移のあるグループ 4,MYCNが増幅した SHH グループ
④超高リスク群:転移のあるグループ3,TP53変異を伴ったSHHグループ

【評価】

悪性脳腫瘍の分類は,シンプルである必要性があるが,残念ながら,WNT グループが低リスク群であることを除けば,各グループ毎にさらに染色体異常,転写プロファイルの変異,転移の有無を加えなければリスク分類はできず,実用にはほど遠い.さらなる簡素化,実用化が望まれる.

執筆者: 

有田和徳

参考サマリー