新規膠芽腫に対するカルムスチン・ウェファーの効果:PFS延長効果を証明

公開日:

2016年12月29日  

最終更新日:

2017年5月9日

Long-term results of carmustine wafer implantation for newly diagnosed glioblastomas: a controlled propensity-matched analysis of a French multicenter cohort.

Author:

Johan Pallud  et al.

Affiliation:

Service de Neurochirurgie, Hoˆ pital Sainte-Anne, Paris, France

⇒ PubMedで読む[PMID:26185110]

ジャーナル名:Neuro Oncol.
発行年月:2015 Dec
巻数:17(12)
開始ページ:1609

【背景】

カルムスチン・ウェファーの留置は悪性脳腫瘍患者のOSとPFSを延長する効果が報告されているが,現在の標準治療となっているテモゾロミド+放射線照射(Stuppレジメ)に対する上乗せ効果を検討したものは少ない.本報告は,フランスneuro-oncologyクラブの多施設共同の研究で,対象はテント上の神経膠芽腫の成人のみ.留置群354名,非留置群443名(標準放射線化学療法のみ).重回帰分析と262患者ペアを用いた傾向スコア・マッチング分析を行った.

【結論】

全症例ではカルムスチン・ウェファー群では標準治療群に比較してPFSは有意に延長していた(HR=0.81 [95% CI:0.69〜0.94],P=0.005).重回帰分析ではカルムスチン・ウェファーの留置は腫瘍全摘/亜全摘群において有意にPFSを延長した(HR=0.76 [95% CI:0.63〜0.92],P=0.005) ,また傾向スコア・マッチング後でもPFS延長効果が認められた (HR=0.74 [95% CI:0.60〜0.92],P=0.008).しかし,OSでは有意差は見いだされなかった.

【評価】

本研究の特徴は対象を成人例,膠芽腫,テント上腫瘍に限り,現在の標準治療(Stuppレジメ)に対する上乗せ効果を,過去最大の規模で評価したことである.初期治療でのベバシズマブ投与例は含まれていない.
無作為試験でない弱点を古典的な多変量解析と,最近注目されている傾向スコア・マッチング分析で克服しようとしている.
その結果,カルムスチン・ウェファーは,全摘/亜全摘群でのみPFS延長効果を示し,部分摘出群では効果は認められない.OSに関しては,カルムスチン・ウェファーの延長効果はいずれの分析でも認められない.再発後のベバシズマブを含めた追加治療がカルムスチン・ウェファーの初期効果を希釈している可能性があり.また,標準治療群においても腫瘍再発時にはカルムスチン・ウェファーが20%の症例で使用されていることもOSの差を減少させている可能性がある.
今後,全摘/亜全摘群が行われた膠芽腫のみを対象としたRCTが組まれるべきであろう.この際,遺伝子変異に関する情報の意義,術中MRI,ナビゲーション,蛍光観察などの画像支援の意義についても併せて評価されるべきであろう.

執筆者: 

有田和徳

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