日帰り開頭手術は全身麻酔下でも有用か

公開日:

2016年12月29日  

最終更新日:

2017年7月6日

Outpatient brain tumor craniotomy under general anesthesia.

Author:

Mark Bernstein  et al.

Affiliation:

Division of Neurosurgery,Toronto Western Hospital, University Health Network, University of Toronto

⇒ PubMedで読む[PMID:26943840]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2016 Nov
巻数:125(5)
開始ページ:1130

【背景】

日帰り開頭手術には患者の身体面,精神面のメリットのみならず,医療費負担を軽減する.その有効性や安全性は今まで示されてきたが, 適応は覚醒鎮静下手術に限定されてきた.トロント・ウェスタン病院のBernsteinらは,開頭腫瘍摘出術が日帰りプロトコール下の全身麻酔で行われた患者の日帰り手術ユニット(DSU)からの退院率を検討し,全身麻酔下日帰り開頭手術の有効性と安全性を検証した.また,術後合併症を特定し,日帰り開頭手術の対照となる患者の適切な選択について検討した.

【結論】

4年6ヵ月の期間中の318回の開頭術のうち,141回が全身麻酔下で行われた.このうち日帰りプロトコールは44例で開始され, 38例(86%)で完遂した.残りの6例のうち5例はDSUからの入院となり, 1例はDSUから退院したものの術後1日以内に入院した.日帰り手術群の院内合併症は少なく,早期退院による有害事象を経験した患者はいなかった.術後早期の詳細な臨床的観察と画像検査により日帰りプロトコールでの全身麻酔下開頭腫瘍摘出術後の患者は安全に退院できた.

【評価】

日帰り全身麻酔下開頭手術は入院症例よりも合併症が少なく,日帰りプロトコールは覚醒下のみならず全身麻酔下でも有用であることが示された. 手術体位の選択枝が広いこと,痛みを伴いやすい髄外腫瘍でも可能なこと,患者の好みなど様々な要素を考慮すると,日帰り開頭手術でも全身麻酔下の方が潜在的需要が広く,今後主流になると思われる.ただし, 重篤な全身合併症がないこと,天幕上腫瘍であること,介護人がついていること,病院から家が近いこと,神経症状が軽いこと,手術時間が短いことなどの条件を満たす必要がある.
また,トロント・ウェスタン病院の日帰り手術プロトコールでは,麻酔後リカバリールームでの観察2時間,DSUでの観察時間最低4時間を必須としているので長時間手術は最初から適応外になる.実際,日帰り全身麻酔下開頭手術の所要時間は平均121分であった.日本のハイボリュームセンターでの手術時間に比べてもかなり短い.

執筆者: 

牧野隆太郎   

監修者: 

有田 和徳

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