日帰り開頭手術は全身麻酔下でも有用か

Vol.1, No.3, P.14 公開日:

2016年12月29日  

最終更新日:

2021年1月26日

Outpatient brain tumor craniotomy under general anesthesia.

Author:

Mark Bernstein  et al.

Affiliation:

Division of Neurosurgery,Toronto Western Hospital, Toronto, ON, Canada

⇒ PubMedで読む[PMID:26943840]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2016 Nov
巻数:125(5)
開始ページ:1130

【背景】

日帰り開頭手術には患者の身体面,精神面のみならず,医療費負担を軽減できるというメリットがある.その有効性や安全性は今まで示されてきたが, 適応は覚醒鎮静下手術に限定されてきた.トロント・ウェスタン病院のBernsteinらは,開頭腫瘍摘出術が日帰りプロトコール下の全身麻酔で行われた患者を解析し,全身麻酔下日帰り開頭手術の有効性と安全性を検証した.また術後合併症を特定し,日帰り開頭手術の対象となる患者の適切な選択について検討した.

【結論】

4年6ヵ月の期間中の318回の開頭術のうち,141回が全身麻酔下で行われた.このうち日帰りプロトコールは44例で開始され, 38例(86%)で完遂した.残りの6例のうち5例はDSUからの入院となり, 1例はDSUから退院したものの術後1日以内に入院した.日帰り手術群の院内合併症は少なく,早期退院による有害事象を経験した患者はいなかった.術後早期の詳細な臨床的観察と画像検査により日帰りプロトコールでの全身麻酔下開頭腫瘍摘出術後の患者は安全に退院できた.

【評価】

日帰り全身麻酔下開頭手術は入院症例よりも合併症が少なく,日帰りプロトコールは覚醒下のみならず全身麻酔下でも有用であることが示された. 手術体位の選択枝が広いこと,痛みを伴いやすい髄外腫瘍でも可能なこと,患者の好みなど様々な要素を考慮すると,日帰り開頭手術でも全身麻酔下の方が潜在的需要が広く,今後主流になると思われる.ただし, 重篤な全身合併症がないこと,天幕上腫瘍であること,介護人がついていること,病院から家が近いこと,神経症状が軽いこと,手術時間が短いことなどの条件を満たす必要がある.
また,トロント・ウェスタン病院の日帰り手術プロトコールでは,麻酔後リカバリールームでの観察2時間,日帰り手術ユニット(DSU)での最低4時間の観察を必須としているので長時間手術は最初から適応外になる.実際,日帰り全身麻酔下開頭手術の所要時間は平均121分であった.日本のハイボリュームセンターでの手術時間に比べてもかなり短い.

執筆者: 

牧野隆太郎   

監修者: 

有田 和徳

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