髄膜腫に対するオクトレオチド治療:in vitro study

公開日:

2017年1月7日  

最終更新日:

2017年5月9日

Octreotide therapy in meningiomas: in vitro study, clinical correlation, and literature review.

Author:

Graillon T  et al.

Affiliation:

Departments of Neurosurgery, Hopital La Timone, AP-HM, Marseille, France

⇒ PubMedで読む[PMID:27982767]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2016 Dec
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

髄膜腫にはオクトレオチドが標的とするソマトスタチンレセプター2(SST2)が発現していることが知られている.また,髄膜腫に対するオクトレオチド治療についてもすでに報告されているが,その効果については、まだ一定の見解が得られていない.
本稿では髄膜腫(n=80)において,腫瘍細胞を培養し,オクトレオチド投与下での細胞増殖能,アポトーシス,シグナル伝達経路について検討した.

【結論】

①SST2はmRNAレベルですべての髄膜腫に発現していた(n=50).
②オクトレオチドの投与により,88%の髄膜腫で腫瘍細胞増殖が抑制された(n=34).しかし,TUNEL assayによると,オクトレオチドによる腫瘍細胞のアポトーシスは認めなかった(n=5).
③オクトレオチド投与群ではSHP-1の発現が増加し,Aktのリン酸化が低下した.ERKのリン酸化に差は認めなかった.
④腫瘍細胞の増殖抑制効果は,merlinの発現と相関し,p70-S6 kinaseのリン酸化に逆相関した.

【評価】

本稿では髄膜腫に対するオクトレオチドの効果は,細胞増殖の抑制であり,腫瘍縮小(アポトーシス)は期待できないことが示された.また,効果を発現するシグナル経路はRas/ERK経路ではなく,PI3K/Akt/mTOR経路の抑制によることが示された.p70-S6 kinaseはmTORの重要な標的蛋白であり,mTORによって活性化され,蛋白質合成を促進する.論文のレビューからは頭蓋底部のWHO Grade Ⅰの髄膜腫がオクトレオチド治療のターゲットの1つとしてあげられており,92%の6カ月間無増悪生存率が報告されている.
髄膜腫については,その発生部位によっては手術による摘出が困難な場合も多く,有効な薬物治療の登場が期待される.オクトレオチドはその1つであるが,どのような髄膜腫に有効なのか(本稿では癌抑制蛋白であるmerlinが指標の1つにあげられている),さらなる検討が期待される.
同じくソマトスタチン誘導体であるパシレオチドについては、再発あるいは進行性髄膜腫に対するphase Ⅱ studyが報告されたが,期待された効果は認められなかった(文献1).

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する