外科医に対する手術コストのフィードバックが医療費を低減する:前向きコントロールスタディー

Vol.2, No.1, P.2 公開日:

2017年1月8日  

最終更新日:

2021年1月7日

【背景】

米国では手術室での費用は入院費の40%を占め,医療経営・経済上の大きな負担となっている.一方,手術室で使用している材料の費用を把握している外科医師は少なく,またその推測値は実際の0.02~25倍ときわめて多様である.外科医が手術室でのコストを把握する機会が少ないことも問題である.UCSFのZygourakis Cらは,外科医へのコスト情報のフィードバックが,手術室での医療費支出の低減につながるか,前向きコントロール・スタディを行った.対象診療科の外科医(n=63)には,2015年の1月から12月の間,各手術ごとの各術者の過去3年間の平均医療費コストと前月の医療費コストを知らせた.さらに,高額のアイテムトップ10の単価,使用頻度の多いアイテムトップ10,使用頻度の高いトップ10にその単価を掛けた金額を知らせた.コントロール群の診療科の外科医(n=186)にはこれらの情報は提供されなかった.介入群もコントロール群も5%のコスト削減が達成できれば,各診療科に5万ドルのインセンティブが贈与されることがあらかじめ宣言された.