放射線誘発性髄膜腫の特徴は何か:メタ解析の結果

公開日:

2017年1月20日  

最終更新日:

2017年7月6日

Radiation-Induced Meningiomas: An Exhaustive Review of the Literature.

Author:

Ryuya Yamanaka  et al.

Affiliation:

Laboratory of Molecular Target Therapy for Cancer, Graduate School for Medical Science, Kyoto Prefectural University of Medicine

⇒ PubMedで読む[PMID:27713063]

ジャーナル名:World Neurosurg.
発行年月:2016 Oct
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

放射線誘発性髄膜腫(RIM)は, 頭蓋照射の稀な合併症である. 京都府立医科大学のYamanakaらは, PubMedデータベースに2016年7月3日以前に登録されたRIM症例を検証し, その特徴を同定した. 対象は251症例. 初病の発症の平均年齢は13.0±13.5歳, 平均照射量は38.8±16.8 Gy. 頭蓋照射から髄膜腫発症までの平均期間は22.9±11.4年間.

【結論】

RIMの悪性度(WHO grade)はⅠ:140(68.2%), Ⅱ:55(26.8%), Ⅲ:10(4.9%)であった.WHO gradeⅢの髄膜腫, 高線量・中線量(≥15Gy)を照射された患者群, 全身化学療法を併用された患者群は, 頭蓋照射から髄膜腫発症までの期間がより短かった(P=0.0003, P<0.0001, P=0.0015). 高線量・中線量群では, 低線量群(15 Gy≥)に比べて髄膜腫の悪性度や多発性が高かった(P=0.0359, P=0.0081). 5年生存率は77.7%, 10年生存率は66.1%であった.

【評価】

対象のRIM251症例は,①腫瘍が照射範囲に発生すること,②照射から腫瘍発生までに十分な期間を有すること,③初病変と異なる病理型であること,④腫瘍発生を助長する疾患(von Recklinghausen病, Li-Fraumeni病, 結節性硬化症, 色素性乾皮症, 網膜芽細胞腫, 神経線維腫症など)が併存しないこと,を満たすものとしている. RIMの早期発症と関係する因子としては, 照射線量が高いこと,髄膜腫のgradeが高いこと,全身化学療法の併用などが同定された. 加えて照射線量はRIMのgradeと多発性にも影響を与えることが分かった.
本稿ではRIMが自然発症の髄膜腫と比べて男性に優位である点,悪性度が高い点, 再発が多い点, 頭蓋冠に優位な点にも言及されている. 悪性度に関してはRIMでない髄膜腫では,おおよそgrade Ⅰ:90%, grade Ⅱ-Ⅲ:10%であるので,RIM症例におけるgrade Ⅱ-Ⅲ:30%は多い.生命予後に関してはRIMでない髄膜腫の5年生存率が95.0%(日本脳腫瘍統計, 2009)であることを考慮すれば,RIMの77.7%はやはり厳しい実態として受け止めなければならない.したがって,RIMは患者に頭蓋照射を行う前に十分に考慮すべきリスクであり,照射後は長期間の経過観察が必要である.
RIMの治療には手術が第一選択となるが, 悪性度が高く難渋することもある. 1番染色体短腕(1p)欠損のRIM発症への関与も報告されており, 将来的には標的治療の実現が期待される.

執筆者: 

牧野隆太郎   

監修者: 

有田和徳

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