Vol.2, No.1, P.6 公開日:
2017年2月13日最終更新日:
2022年6月13日Thrombolytic removal of intraventricular haemorrhage in treatment of severe stroke: results of the randomised, multicentre, multiregion, placebo-controlled CLEAR III trial.
Author:
Hanley DF et al.Affiliation:
Acute Care Neurology, Division of Brain Injury Outcomes, Johns Hopkins University, Baltimore, USAジャーナル名: | Lancet. |
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発行年月: | 2017 Feb |
巻数: | 389(10069) |
開始ページ: | 603 |
【背景】
脳内血腫量が30ml以下で閉塞性水頭症をきたしている脳内出血患者を2群に分けて,脳室ドレナージチューブからtPA(アルテプラーゼ)か生理食塩液を8時間おきに最大12回投与し,灌流した(患者数:tPA=246,生理食塩液=249).一次エンドポイントは180日目の良好な機能予後(mRS≦3).
【結論】
mRS≦3はtPA群48%,生食群45%で差は無かった.tPA群の方が死亡率は低かったが(18% vs. 29%,p=0.006),mRS 5(重度障害)の割合はtPA群で高かった(17% vs. 9%, p=0.007).脳室炎と重篤な有害事象はtPA群で低かった(p<0.05).有症候性再出血は共に2%であった.2本目のドレーンは共に27〜28%に挿入されていた.
【評価】
本研究はtPAによる脳室内血腫除去に関する最初のRCTである.tPA群,生食群とも,出血から脳室ドレナージまでの期間は7〜8時間(中央値)で,ランダム割り付けまでは約52時間,ランダム割り付けから初回投与までは約3時間であった.投与回数はtPA群で5回,生食群で12回であった.80%以上の血腫除去はtPA群33%,生食群10%で達成できた.
閉塞性水頭症をきたすような脳室内出血を伴ったtPA溶液による脳室内灌流の安全性は,本RCTで確認されたが,当初のエンドポイントであったmRS 3以上の機能予後には影響を与えなかった.
今後,複数のドレーンで灌流するなど,より早期に,またより多量の血腫を除去するためのプロトコールをベースにtPAの有用性が再検討される必要性がある.
執筆者:
有田和徳関連文献
参考サマリー