Vol.2, No.2, P.2 公開日:
2017年3月25日最終更新日:
2021年2月1日Short-Course Radiation plus Temozolomide in Elderly Patients with Glioblastoma.
Author:
Perry JR et al.Affiliation:
Odette Cancer Centre, Sunnybrook Health Sciences Centre, Toronto, Canadaジャーナル名: | N Engl J Med. |
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発行年月: | 2017 Mar |
巻数: | 376(11) |
開始ページ: | 1027 |
【背景】
神経膠芽腫に対する期間短縮照射が普及しつつあるが,テモゾロミドの上乗せ効果は明らかではない.本研究は,65歳以上(平均73歳)の初発神経膠芽腫患者に対する期間短縮放射線照射(40 Gy / 15分割)単独治療と,同照射療法+テモゾロミド投与(照射期間中75 mg/m2/日+照射後28日毎5日間の投与を12サイクル)のRCTである(n=281 vs. 281).
【結論】
テモゾロミド追加群は期間短縮放射線照射群に比較してOS,PFSとも有意に長かった(9.3 vs. 7.6 mos., HR: 0.67, p < 0.001),(5.3 vs. 3.9 mos., HR: 0.50, p < 0.001).MGMTメチル化群(n=165)ではテモゾロミド追加群でOSが有意に長かった(13.5 vs. 7.7 mos., HR: 0.53, p < 0.001)が,MGMT非メチル化群では,その差は縮まった(10.3 vs. 7.9 mos., HR: 0.75, p < 0.055).QOLは両群間で差は無かった.
【評価】
期間短縮照射の通常照射(60Gy/30回)に対する非劣性は既に報告されている.しかし,期間短縮照射へのテモゾロミド上乗せ効果は不明であった.本研究では多数例を対象として期間短縮照射単独治療群に比較してテモゾロミド追加投与群でOS, PFSがともに延長することを証明した.テモゾロミド1日投与量は通常の照射の場合と同じである.本研究はテモゾロミド追加の有用性を示したものであるが,逆にいわゆるStuppレジメでも,期間短縮照射単独群を使用し得ることを示唆している.テモゾロミド追加の効果は特にMGMTメチル化群で高かった(HR: 0.53, p < 0.001)が,有意水準に達しなかったとはいえ,非メチル化群でもテモゾロミド追加の効果が認められている(HR: 0.75, p=0.055).
高齢者神経膠芽腫に対する期間短縮照射は欧米では“commonly used”とされているが,本邦ではまだ普及しているとは言いがたい.特に生命予後が限られている高齢者膠芽腫患者では在院日数を短縮させ,家庭での生活期間を確保する意味は大きいと思われる.テモゾロミドの有効性が高いMGMTメチル化症例に対して40Gy/15daysの照射を上乗せすべきかどうかという問題は, 今後解決されなければならない.
執筆者:
有田和徳関連文献
- Franceschi E, et al. Which elderly newly diagnosed glioblastoma patients can benefit from radiotherapy and temozolomide? A PERNO prospective study. J Neurooncol. 2016;128(1):157-162
- Roa W, et al. International Atomic Energy Agency Randomized Phase III Study of Radiation Therapy in Elderly and/or Frail Patients With Newly Diagnosed Glioblastoma Multiforme. J Clin Oncol. 2015;33(35):4145-50
参考サマリー