迷走神経刺激術によるてんかん発作消失率とその予測因子:レビュー

公開日:

2017年5月5日  

最終更新日:

2017年5月5日

Rates and Predictors of Seizure Freedom With Vagus Nerve Stimulation for Intractable Epilepsy.

Author:

Englot DJ  et al.

Affiliation:

UCSF Comprehensive Epilepsy Center, University of California, San Francisco, California

⇒ PubMedで読む[PMID:26645965]

ジャーナル名:Neurosurgery.
発行年月:2016 Sep
巻数:79(3)
開始ページ:345

【背景】

迷走神経刺激術(VNS)は難治性てんかんの緩和的外科治療として世界中で広く行われており,これまでは発作症状の改善を焦点として予測因子などについて検討されてきたが,発作消失についての検討は少ない.UCSFのEnglotらはVNS Therapy Patient Outcome Registryから得られた5,554症例について,発作消失率とその予測因子について検討を行い,さらに2,869症例をカバーする78文献のsystematic reviewを行なった.

【結論】

Registryデータによると,0〜4ヶ月・24〜48ヶ月間のVNS治療でそれぞれ,49%・63%の患者で50%以上の発作減少が得られ,5.1%・8.2%の患者で発作が消失した.多変量解析の結果,発作消失の予測因子はてんかん発症年齢が12歳を超えるもの,全般性てんかん発作であった.一方,発作消失を含む全発作転帰は器質病変を伴わないてんかんで良好であった.Systematic reviewによる結果でも0〜4ヶ月,最終観察時のVNS治療による50%以上の発作減少は,それぞれ40.0%・60.1%に認め,2.6%・8.0%の患者で発作消失が得られており,この結果はRegistryデータの解析結果とほぼ同様であった.

【評価】

VNSは難治性てんかんに対する治療として,本邦を含め世界中で行われている.ただ,すべての患者に発作減少効果を示すわけではなく,治療効果が乏しい,あるいは全くない患者も存在しているのが現状である.これまでVNSの転帰予測因子について多くの研究がなされており,マグネット使用で効果を示す,これまで投与された薬剤数の少ない,発作頻度がVNS前に多かった,認知機能が高いなどが転帰良好因子として報告されている.しかし,発症年齢,罹病期間,全般あるいは部分てんかんなどではそれぞれ相反する予測因子が報告されており一致しない.また,これらの患者背景や患者数も様々で,どの因子が転帰予測に有用であるか定説はない.

本研究では,これまでVNSが設置された全症例の約18%にあたる5,554症例と非常に大きな集団で検討がなされており,従来の報告と比較しても信頼性の高いデータであると言える.VNSによる発作消失率も従来の報告ではばらつきがあったが,本研究のデータはRegistryグループと従来の報告とで比較がなされており,臨床的に重要な報告であると考えられる.

執筆者: 

片桐匡弥   

監修者: 

有田和徳

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