EGFR活性型変異を伴う非小細胞型肺癌の脳転移:EGFR-TKIの位置付け

公開日:

2017年5月19日  

最終更新日:

2017年6月9日

Management of Brain Metastases in Tyrosine Kinase Inhibitor-Naïve Epidermal Growth Factor Receptor-Mutant Non-Small-Cell Lung Cancer: A Retrospective Multi-Institutional Analysis.

Author:

Magnuson WJ  et al.

Affiliation:

Yale School of Medicine

⇒ PubMedで読む[PMID:28113019]

ジャーナル名:J Clin Oncol.
発行年月:2017 Apr
巻数:35(10)
開始ページ:1070

【背景】

非小細胞型肺癌の脳転移に対する治療オプションとしては定位放射線治療(SRS),全脳照射(WBR),EGFチロシンキナーゼ拮抗剤(EGFR-TKI)の3つがある.治療における最適な位置付けを検討するために,EGFR変異陽性腫瘍で,これまでにEGFR-TKI治療を受けていない肺癌の脳転移351例を対象に観察研究を行った.

【結論】

治療は全米の6施設のacademic centerで実施された.OSは①SRS後EGFR-TKI群(n = 100)で46ヵ月,②WBR後EGFR-TKI(n = 120)群で35ヵ月,③EGFR-TKI後,頭蓋内腫瘍の進行時にSRSかWBRの群(n =131)で25ヵ月であった.多変量解析では,SRS対EGFR-TKI,WBRT対EGFR-TKI,年齢,PS,EGFR exon 19変異,頭蓋外転移の不在が良好なOSと関連していた.

【評価】

本観察研究では,EGFR-TKI先行で放射線照射を遅らせることはOSにとって利益がなく,逆にSRS先行EGFR-TKI群でOSが最も長く,WBRTによる認知機能の低下を防ぐことも出来た.実際に使用されたEGFR-TKI製剤は98%がエルロチニブ(タルセバ®)である.また,EGFR-TKI先行群では,頭蓋内腫瘍の進行のため52%が,その後放射線治療を受けている.患者背景としてはEGFR-TKI先行治療群では 放射線先行群と比較して症候性頭蓋内転移が有意に少なく(p=0.001),頭蓋内転移巣が1 cm以下である症例が有意に多かった(p=0.001).
本研究はどの治療を選ぶかを各施設に任された観察研究であるので,多くの交絡因子が排除されていない可能性が高い.しかし,同じ臨床的進行度評価指数(dsGPA:2〜4)であっても,放射線先行群のOSは長い.
今後,SRS先行EGFR-TKIとEGFR-TKI先行SRSの2群間でのRCTが早急に行われるべきであるが,当分は本研究を受けて,EGFR活性型変異を伴う非小細胞型肺癌の脳転移に対してはSRS先行EGFR-TKIがスタンダードケアになるであろう.なお,本研究では研究対象から除外されている摘出手術の意義付けはどうなるのか,SRSの前か後か,この点についても今後の課題である.なお、EGFR exon 19変異陽性肺腺癌はEGFR-TKIの効果が高い.

執筆者: 

有田和徳

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