頚椎変性によって生じる頚髄症について包括的概念を提唱

公開日:

2017年5月19日  

最終更新日:

2017年6月9日

Degenerative Cervical Myelopathy: A Spectrum of Related Disorders Affecting the Aging Spine.

Author:

Tetreault L.   et al.

Affiliation:

Division of Neurosurgery and Spine Program, University Tronto

⇒ PubMedで読む[PMID:26378358]

ジャーナル名:Neurosurgery.
発行年月:2015 Oct
巻数:77
開始ページ:S51

【背景】

頚柱の退行性変化によって進行性の頚髄圧迫を来たし,頚髄症を呈する疾患群には,頚椎症,椎間板ヘルニア,関節肥大,靱帯変性(石灰化症,骨化症),さらにOPLLなどがある.これら疾患群は呼称が統一されておらず,標準化の必要性が指摘されていた.

【結論】

上記疾患群のなかでも,椎間板ヘルニアとOPLLは自然歴,治療法が他と異なっている点で,包括化することに反対する意見もあるが,いずれも加齢による進行性変化という点でDegenerative Cervical Myelopathy(DCM)という包括的な呼称を使用することを提唱する.

【評価】

トロント大学のMG Fehlings一門は北米で有数のspine research groupで,論文数は世界でトップ3以内であることは確実である.そのグループが2015年頃より上記DCMという概念を提唱している.
これまで頚椎変性により頚髄症を呈する疾患はCervical Spondylotic Myelopathy(CSM) と呼ぶのが一般的である.その頚椎変性はおもに骨棘,椎間関節肥大などのosteoarthritic change(OA change)によるもので,OPLLなどの靱帯骨化疾患は別個に扱われてきた.しかし,トロント大学のMG Fehlingsらは加齢性変化によって脊髄障害をきたすものはすべてDCMと呼ぶことで標準化を図ろうとしている.
たしかに,脊椎変性疾患の呼称は複雑でわかりにくい.たとえば,「他院では変形性頚椎症と言われたが,今回は頚椎症性脊髄症と言われた.診断が間違っていたのか?」などの質問を患者サイドから受けることは度々である.この手の疑問には医師であっても脊椎に従事していなければ明瞭に回答するのは意外と困難ではないだろうか.この点で包括的概念・呼称には一定の価値があると思われる.
ただし,筆者らも指摘しているとおり,OPLLや椎間板ヘルニアはCSMとの治療方針や自然歴が異なっている点も多い.OPLLを退行性変化として良いかという点も反論があるであろう.疾患の理解を容易にするという点で臨床的価値には賛同するが,今後,頚椎に起こる退行性変化のすべてをDCMとすることに,他の研究者が追随するのでなければ,研究的価値の位置付けは不確実である.

執筆者: 

山口智   

監修者: 

有田和徳

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