MR静脈撮影でないルーチンMRIによる静脈洞血栓症の診断

公開日:

2017年5月26日  

最終更新日:

2017年5月26日

Diagnostic Performance of Routine Brain MRI Sequences for Dural Venous Sinus Thrombosis.

Author:

Maralani PJ  et al.

Affiliation:

Department of Medical Imaging,University of Toronto, Canada

⇒ PubMedで読む[PMID:27313130]

ジャーナル名:AJNR Am J Neuroradiol.
発行年月:2016 Nov
巻数:37 (11)
開始ページ:2026

【背景】

静脈洞血栓症(Dural Venous Sinus Thrombosis:DVST)は無症候性のものから致死的なものまで臨床像は様々である.早期診断と治療が必要であるが,症状出現から診断確定まで平均7日間を要すとの報告もある.DVSTの確定診断には造影剤を使用したMR静脈撮影(MRV),あるいはCT静脈撮影(CTV)によることが多いが,本研究では,ルーチンMRI撮像でのDVSTの検出率を検証した.

【結論】

72名(16.8%)のDVSTを含んだ429名の頭部MRIを対象とした.DVSTの確定診断はMRVあるいはCTVでなされた.MRVでないルーチンMRI(T1,T2,GRE,FLAIR,DWI,SWI,CE-SE-T1W1)を3名の神経放射線専門医師が個別に読影し,硬膜静脈洞血栓の有無を評価した.DVST患者は平均年齢51.4歳,女性が62.5%を占め,背景疾患としては脳腫瘍が最多(19.4%)で,外傷(13.9%),頭蓋内出血(12.5)%が続いた.
ルーチンMRIを用いたDVSTの検出率は感度79.2%,特異度89.9%であり.1.5TMRI機種は3T機種に対し,感度は高く(85.7% vs. 56.3%,p<0.05),特異度は低かった(87.2% vs. 94.6%,p<0.05).

【評価】

DVSTの罹患率は5人/百万人の稀な病態であり,リスクファクターとしてはホルモン剤内服や妊娠,頭部外傷感染,SLEなどの血液凝固異常を伴う全身疾患などが知られている.特異的な症状に乏しく,発症初期ではその他の疾患との鑑別が困難である.診断のgolden standardはCTVあるいは3D T1WI GREとされている.

本研究ではn=429という大規模集団であること,特別な撮像法ではなくどこの施設でもルーチンとなっている7つのシーケンスによるMRIでDVSTを検出できるかを検討している点が意義深い.患者背景因子に関しては,脳腫瘍(転移性を含む)が最も高頻度であったことは目新しいが,研究が行われた施設が,全国的な癌診療拠点であったことも関係しているものと思われる.

本研究ではDVSTを疑う所見として以下の項目を挙げている.①high signal on sagittal T1,②loss of flow void on axial T2,③loss of flow void or hyperintense signal on FLAIR,④increased susceptibility effects on axial GRE and SWI,⑤high signal on axial DWI,⑥the presence of filling defects on axial CE-SE-T1WI and/or CE-3D-T1WI.診断医は上記項目の有無を総合的に勘案しDVSTの有無を判定している.この結果,感度80%,特異度90%でDVSTが診断できた.
項目ごとの感度特異度には言及していないが,少なくとも上記6項目を常に意識しながらMRIの読影を行うことで,臨床的にはDVSTを疑われていない患者においても,DVSTの見落としが防げるであろう.
本研究では3TMRI機種と1.5T機種間で感度と特異度に差が示されたが,その理由については言及されていない.

執筆者: 

羽生未佳   

監修者: 

有田和徳

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