正常圧水頭症の診断におけるタップ・テストでは,何mLの髄液を抜けばよいのか?

公開日:

2017年5月26日  

最終更新日:

2017年5月26日

Lumbar Puncture Test in Normal Pressure Hydrocephalus: Does the Volume of CSF Removed Affect the Response to Tap?

Author:

Thakur SK  et al.

Affiliation:

Department of Radiology and Neurology, New York University School of Medicine, New York

⇒ PubMedで読む[PMID:28473344]

ジャーナル名:AJNR Am J Neuroradiol.
発行年月:2017 May
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

正常圧水頭症の診断におけるタップ・テストでは,何mLの髄液を抜けばよいのか?New York医科大学放射線科のThakur SKらは,この点を明らかにするために,臨床的にiNPHと診断された患者を対象に,髄液排除量とタップ・テスト後の歩行状態の評価スケールを(30m歩行時間とfunctional ambulation performance: FAP)を比較した(n=249).

【結論】

タップ・テストでの髄液排除は8〜55mL行われた.排液の量とタップ・テスト後の歩行障害の改善程度には相関は認めなかった(Pearson coefficient r = 0.049–0.129).ただし,タップ・テストにより,直後(1〜2時間後)の30m歩行時間が20%以上短縮した群(n=62)では,タップに使用した針のゲージが18Gの方が20Gに比べ,歩行時間の改善率が有意に高かった(p=0.04).

【評価】

まず,正常圧水頭症の診断のためのタップ・テストは日本ではほぼ全例脳外科医が行っているが,New York医科大学では放射線科医が行っているという事実は新鮮である.
現在,正常圧水頭症(iNPH)の診断における腰椎タップテストで,何mLの髄液を排除するべきなのか,明確な基準がない.世界的には40〜50mLを排除するhigh-volumeテストが主流であるが,1965年のHakim and Adamsの報告ではより小量の髄液排除が行なわれている.

本研究ではタップ・テストによって排除された髄液量の平均値は41.2mL(range,8〜55mL; 25th percentile,35mL;median,40mL;75th percentile,50mL)であった.その結果,髄液排除量とタップ・テスト後の歩行の改善程度には相関は無かった.したがって,40〜50mLという大量排除ではなく,より小量の髄液排除(15mL)でも良いのではないかという結論である.

日本の特発性正常圧水頭症診療ガイドライン中の診断のためのフローチャートでは「腰椎穿刺による脳脊髄液排除量は30mlとする」と記載されている.体格や本研究の結果を考慮すれば髄液排除量はもう少し少なくても良いかもしれない.逆に,日本でも大量の髄液排除を勧める考え方もある.
大きいゲージの針の方が良い(19ゲージ以上を推奨)というのも日本のガイドラインに記載されている.太い針での硬膜穿刺による硬膜外への髄液の漏れが貢献しているのか,興味深い.

執筆者: 

羽生未佳   

監修者: 

有田和徳

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