クモ膜下出血後の脳血管攣縮のリスク因子

公開日:

2017年5月28日  

最終更新日:

2017年5月27日

Risk Factors for Cerebral Vasospasm Following Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage: A Review of the Literature.

Author:

Inagawa T  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Araki Neurosurgical Hospital, Hiroshima, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:26342775]

ジャーナル名:World Neurosurg.
発行年月:2016 Jan
巻数:85
開始ページ:56

【背景】

クモ膜下出血後の脳血管攣縮は種々の用語で定義されている.いわく血管撮影上の血管攣縮(AV),症候性血管攣縮(SV),CT上の脳梗塞(CI),遅発性脳虚血(DCI),遅発性虚血性神経脱落症状(DIND).本レビューはそれぞれの定義に基づいた,クモ膜下出血後の脳血管攣縮のリスク因子を明らかにしている.さらに,SV,CI,DCIあるいはDINDを脳血管攣縮(CV)として採用して,28報告のメタ解析を行った.

【結論】

CT上のクモ膜下出血の重症度は唯一不変のCVのリスク因子であった.年齢,臨床グレード,再出血,脳内出血,脳室内出血,急性水頭症,動脈瘤の部位,白血球増多,IL-6濃度,心臓の異常はすべてクモ膜下出血の重症度に影響されていた.
一方,喫煙,高血圧,心電図上の左心室肥大は,クモ膜下出血の重症度とは無関係にCVの出現と相関していた.
クモ膜下出血の重症度とは無関係のこれらの3因子とCVの発生のメカニズムについては今後さらなる研究が必要である.

【評価】

長年クモ膜下出血,特に脳血管攣縮の治療と疫学研究に携わってきた著者の渾身のレビューである.クモ膜下出血に関わる脳外科医,脳卒中医は必ず読んでおくべき文献である.
従来,CVのリスク因子として推測されている年齢,臨床グレード,再出血,脳内出血,脳室内出血,急性水頭症などはクモ膜下出血の重症度に影響されており,独立因子でないことを明確にしている.一方,喫煙,高血圧,心電図上の左心室肥大が独立したCVのリスク因子であり,CV発生とこれら因子との関連については研究すべきテーマであることを提案している.
さらに,著者は自験の結果からもCVを表現する最も適切なパラメーターはAVであるが,AVはコントロールと比較して厳密に評価すれば90%以上に見られることから,単にAVの有無ではなく,AVのグレーディングで評価すべきである,と提唱している.

執筆者: 

有田和徳

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