血栓回収に新しい仲間:エリック君

公開日:

2017年5月28日  

最終更新日:

2017年5月27日

Mechanical Thrombectomy with the Embolus Retriever with Interlinked Cages in Acute Ischemic Stroke: ERIC, the New Boy in the Class.

Author:

Steglich-Arnholm H  et al.

Affiliation:

Departments of Neurology and Neuroradiology, Rigshospitalet, Copenhagen, Denmark

⇒ PubMedで読む[PMID:28495947]

ジャーナル名:AJNR Am J Neuroradiol.
発行年月:2017 May
巻数: [Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

Embolus Retriever with Interlinked Cages(ERICMicrovention社)は,最近使用が開始された複数のケージ(籠)を連結した血栓回収用デバイスである.本研究では従来のステント・リトリーバーと比較したERICの有効性・安全性が検討された.

【結論】

全316例に血栓回収療法が実施され,平均年齢68.7歳,NIHSS 16.9,閉塞部位はIC末梢 26%・M1 56%・M2 15%.t-PA投与が71%に,頭蓋外頸動脈ステント留置が20%に併用されている.ERIC群(59例):non-ERIC群(257例)において,TICI 2b-3の再開通率は86%:81%,3か月後の予後良好群(mRS 0-2)は46%:40%,と両群間での有意差は認めなかった.また,手技に関連する合併症についても同等の頻度であった(28%:30%).一方,平均手技時間は67分:98分とERIC群で30分以上の短縮が得られており(p=0.009),さらにERIC群ではレスキュー・デバイスの使用が有意に低率であった(18%:39%,p=0. 09).

【評価】

急性期脳梗塞に対するステント・リトリーバーを用いた血栓回収療法の有効性は,既に明らかとなっている.既存のステント・リトリーバーは筒状の構造を有しており,ステント・リトリーバーを展開・回収する際に血栓を細断してしまい血栓の残存や動脈遠位側への塞栓症をきたすこと,さらにデバイスの全長が血管内腔面に接触するため内皮損傷をきたすことが問題となっている.近年,複数の籠状構造を縦列に並べ構造のステント・リトリーバー(the Embolus Retriever with Interlinked Cages:ERIC)が開発されており,本研究では従来のステント・リトリーバーと比較したERICの有効性・安全性が検討された.

本研究におけるERIC使用の選択については術者の判断に委ねられているが,ERICは細径のマイクロカテーテルで誘導可能であり,M2を含む遠位病変にも多く使用される傾向があった(22%:13%).一方,ERIC群では手技関連の頭蓋内出血が6例に合併しているが(症候性2例),うち4例はM2-3の分枝における使用であったという事実は,その適応判断において重要と考えられる.
ERICは手技時間の短縮,デバイス誘導の容易さ等の利点を有し,有効かつ安全なデバイスと考えられる.閉塞血管の再開通率と90日目の良好な日常生活自立度(mRS:0-2)においては差がなかった.これはERIC以外のデバイスでも80%以上の頻度で再開通が得られているためで,統計学的な差を求めるためには,より大きな患者集団での検討が必要と考えられる.
2017年5月現在,日本でのERICの治験の予定はない.

執筆者: 

菅田真生   

監修者: 

有田和徳

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