免疫チェックポイント阻害剤はIDH変異型グリオーマに効きにくい?

公開日:

2017年7月1日  

最終更新日:

2017年7月12日

Correlation of immune phenotype with IDH mutation in diffuse glioma.

Author:

Berghoff AS  et al.

Affiliation:

Institute of Neurology, Medical University of Vienna

⇒ PubMedで読む[PMID:28531337]

ジャーナル名:Neuro Oncol.
発行年月:2017 May
巻数: [Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

近年,腫瘍浸潤リンパ球(TIL)やPD-L1は,免疫チェックポイント阻害薬の標的として注目されている.ウィーンのBerghoffらは43例のWHO grade Ⅱ/Ⅲグリオーマ(IDH変異型39例,IDH野生型4例)と131例のGBM(IDH変異型14例,IDH野生型117例)症例を対象に,TILの浸潤とPD-L1の発現を評価した.PD-L1遺伝子発現量は,The Cancer Genome Atlas(TCGA)のびまん性グリオーマ667症例(WHO gradeⅡ-Ⅳ)で評価した.

【結論】

グリオーマ全体(WHO gradeⅡ-Ⅳ)でIDH変異型よりもIDH野生型の方がTIL浸潤とPD-L1発現が多く(p<0.001),これはGBM単独の検討でも同様であった(p<0.001).
TCGAの低悪性度グリオーマ(LGG)では,PD-L1遺伝子の発現量はIDH変異型よりもIDH野生型の方が高かった.PD-L1遺伝子の低発現はプロモーターのメチル化亢進と相関していた(p<0.01).IDH変異型グリオーマはIDH野生型と比して,PD-L1遺伝子プロモーターのメチル化レベルが高かった(p<0.01).

【評価】

グリオーマの分子学的分類それぞれに対する免疫療法の効果は多くが未知である.本研究ではIDH野生型のグリオーマでは変異型に比較して,TIL浸潤が強く,PD-L1の発現が高い事が明らかになった.IDH野生型のPDL-1の発現は蛋白レベル(免疫染色)のみならず,遺伝子レベルでも高い.逆に,IDH変異型グリオーマでは,TIL浸潤,PD-L1の発現は低く,そのプロモーターのメチル化亢進を伴っていた.このことよりIDH変異型に対するPD1/PD-L1阻害剤の効果はIDH野生型よりも劣る可能性が推測される.
IDH変異が腫瘍の免疫微小環境に与える影響の機序は明らかではないが, 変異IDHタンパク質の代謝物である2-hydroxyglutarateの影響が疑われており,今後この角度からの研究が進むものと思われる.また,初発神経膠芽腫に対する PD1/PD-L1阻害剤の治験も進んでいることから,DH変異の有無と PD1/PD-L1阻害剤の効果の相関の検討も行われる事を期待したい.
また,本研究はGrade II, IIIのグリオーマのうちIDH野生型に対する免疫チェックポイント阻害剤投与というオプションを示唆している.

執筆者: 

牧野隆太郎   

監修者: 

有田和徳

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