仰臥位 vs. 頭部挙上 急性期脳卒中の機能予後がよいのはどちらか?

公開日:

2017年7月14日  

最終更新日:

2017年7月13日

Cluster-Randomized, Crossover Trial of Head Positioning in Acute Stroke.

Author:

Anderson C.S.  et al.

Affiliation:

The George Institute for Global Health and Faculty of Medicine, University of New South Wales, Sydney, Australia

⇒ PubMedで読む[PMID:28636854]

ジャーナル名:N Engl J Med.
発行年月:2017 Jun
巻数:376(25)
開始ページ:2437

【背景】

脳卒中急性期患者の体位に関しては確固としたエビデンスはなく,臨床現場では様々な実践がなされている.このクラスター無作為化クロスオーバー試験(HeadPoST)にはオーストラリアを中心に世界の9カ国116病院が参加した.目的は,急性期脳卒中患者において仰臥位と頭部挙上のどちらが患者の機能予後にとって有益であるかを確認することである.

【結論】

対象は急性期脳卒中(85%が虚血性)の患者11093人とした.病院毎に完全な仰臥位(lying flat)もしくは座位(30度以上の頭部挙上)のいずれかが無作為に指定された.各病院は, 全ての患者において最初の24時間は指定された体位を維持して治療を行った.それぞれの病院が目標症例数に達すると病院単位でクロスオーバーし,その後は反対の体位で最初の24時間の治療を行った.一次評価項目として修正Rankinスケール(mRS)を用い,90日後の障害の程度を評価したところ,両群のmRS分布に有意差は認められなかった.死亡率,肺炎を含む重篤な有害事象の比較においても有意差は認められなかった.

【評価】

これまで,仰臥位では脳主幹動脈における血流増加や脳の酸素化が期待できるという研究結果が示されている.一方,座位では頭蓋内圧を低下させる可能性があることも示唆されている.しかしながら,いずれの研究も小規模でランダム化されていない.また,体位が心肺機能障害,誤嚥性肺炎のリスクを高める可能性も指摘されている.このため,脳卒中後の体位についてはガイドライン上も曖昧で,臨床現場での実践も様々である.

こうした背景を踏まえた今回の研究(HeadPoST)は,両体位を比較した初の大規模ランダム化試験である.しかしながら,仰臥位と頭部挙上30°以上の坐位では機能予後に有意差は認められなかった.一方,24時間同一姿勢を維持することに対する忍容性は明らかに座位の方が高かった(仰臥位87%,頭位挙上95%,p<0.001).

ただ,今回の研究の対象症例は軽度から中等度の脳卒中が殆どであったことから,今後重症症例での機能予後に与える影響を調査する必要がある.さらに体位維持の持続時間(24時間)が,臨床効果上の有意差を得るには短すぎるのかも知れない.また本研究では,発症から体位維持開始までの時間は両群とも中央値14時間であったが,虚血ペナンブラからの回復がより期待出来るもっと早い段階で体位維持を開始することができれば,今回とは異なる結果が得られる可能性がある.

執筆者: 

橋元彩   

監修者: 

有田和徳

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