喫煙は脳動脈瘤コイル塞栓後の再発に関与する

公開日:

2017年8月8日  

最終更新日:

2017年8月9日

Influence of smoking on aneurysm recurrence after endovascular treatment of cerebrovascular aneurysms.

Author:

Futchko J  et al.

Affiliation:

Department of Vascular Surgery, Montefiore Medical Center, Bronx, New York

⇒ PubMedで読む[PMID:28644100]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2017 Jun
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

脳動脈瘤コイル塞栓後の再発に喫煙が関与するかを後方視的に調査した.対象は脳動脈瘤コイル塞栓後の296例(未破裂234例,破裂62例)のうち247例.

【結論】

全症例では平均追跡期間1.62年で再発率24.3%であった.現・元喫煙者232例では平均追跡期間1.57年で再発率26.2%であった.非喫煙者64例では平均追跡期間1.82年で再発率17.2%であった.多変量解析では,コイル塞栓後の脳動脈瘤再発には,喫煙歴が有意に関与し,オッズ比は非喫煙者と比べて,現喫煙者で2.7倍(p=0.0308),元喫煙者でも2.7倍(p=0.0395)であった.その他,動脈瘤サイズ(7mm以上,p<0.001),塞栓状態(不完全閉塞;頚部描出p=0.023,体部描出p=0.0315),追跡期間(最低1.25年,p=0.017)が脳動脈瘤再発に関与した.

【評価】

喫煙が脳動脈瘤の発生・増大の危険因子であることは周知の事実であるが,脳動脈瘤コイル塞栓後の再発と喫煙の関係についての研究はほとんどない.まずOrtizらは,喫煙歴は脳動脈瘤コイル塞栓後の再発に強く関与する(喫煙歴なしの4.53倍)と報告した.その後,Brinjikjiらは,喫煙歴は脳動脈瘤コイル塞栓後の再発に関与しないと報告した.そして今回,喫煙歴を現・元喫煙者に分けた上で解析した結果,現・元喫煙者いずれも,すなわち喫煙歴自体が脳動脈瘤コイル塞栓後の再発の危険因子になることを報告した.再発の他の因子として,動脈瘤サイズと不完全閉塞はすでに報告されている通りであった.

喫煙は,α1-アンチトリプシンを阻害することにより,血管壁のエラスチン蛋白が破綻,壁弾性が減少した結果,動脈瘤を形成するとされる.またコイル塞栓を行っても,とくに不完全閉塞では,エラスターゼ活性により,血栓化が進まず動脈瘤閉塞が阻まれるのかもしれない.つまり喫煙は動脈瘤増大と瘤内血栓化進行の阻害の2面でコイル塞栓後の再発に関係している可能性がある.

CARAT,ISAT,BRAT(ongoing)のいずれの研究においても,破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓後の高い再発率が報告されている.それらの集団における,現在の喫煙と再発との関係,そして本論文の著者らも指摘しているように過去の喫煙歴とクリッピング後,コイル後の転帰との関連は興味深いテーマである.

執筆者: 

坂本繁幸   

監修者: 

有田和徳

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