長期追跡によるAVMに対する定位放射線治療の有効性の証明:ARUBA試験に対する反証

公開日:

2017年8月9日  

最終更新日:

2017年8月9日

The benefit of radiosurgery for ARUBA-eligible arteriovenous malformations: a practical analysis over an appropriate follow-up period.

Author:

Tonetti DA  et al.

Affiliation:

The Center for Image-Guided Neurosurgery and Departments of Neurological Surgery and Radiation Oncology, University of Pittsburgh Medical Center, Pittsburgh, Pennsylvania

⇒ 原文を読む

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2017 Jun
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

未破裂脳動静脈奇形に対する定位放射線治療(γナイフ)の有効性を評価するためには,治療後長期間を経過した症例を対象として検討する必要がある.2014年に発表された未破裂脳動静脈奇形に関するランダム化試験“ARUBA研究”は,定位放射線治療を含む積極的治療群では保存的治療群よりイベント=「症候性脳卒中または死亡」発生率が高いという結果が出て,積極的治療に対して疑問を投げかけるものになった(参考文献1).しかしARUBA研究の患者追跡期間は3年と短く,治療モダリティも統一されていないため,ARUBA研究に対しては批判も多い.

【結論】

ピッツバーグ大学のTonetti DAらは,ARUBA研究に適格する患者で(18歳以上,未出血,Martin-Spetzler分類 I-IV),定位放射線治療後3年以上の追跡を受けた233例を抽出し,ARUBA研究同様の評価を行った.平均追跡期間8.4年で,32例(14%)にイベントが発生した.一方,3年以降では症候性脳卒中発生率は0.4%/年,死亡年率は0.8%/年と低くなり,168例(72%)でnidusの消失が認められた.イベントは若年群(<40歳)と脳表側のみの流出静脈群で有意に少なかった.ARUBA研究のデータから外挿すると,保存的治療群におけるイベントの発生率は8.4年で30%と算出され,自験の定位放射線治療群14%と比較して有意に高かった(p=0.0003).

【評価】

その結果が2014年にLancetを通じて報告されて以降,ARUBA研究に関しては様々な角度から批判的な吟味がなされてきた.周術期のリスクを伴う積極的治療群と保存的加治療群の比較では,治療後早期の段階では,積極的治療群でイベントが多いのは当然であり,逆に数年以上の長期間の観察を行った場合は異なる結果が得られていた可能性がある.特に定位放射線治療ではnidusが消失するまでに一定の年月を要するので,追跡期間の長さが保存的治療群との比較の結果に影響を与える可能性が高い.
本論文は3年以上の長期追跡例のみを対象としたことと,ARUBA研究の保存的治療群のデータから,8.4年間の累積イベント率を外挿して,自験の定位放射線治療群と比較したことにより,保存的治療に対する定位放射線治療の優位性を示すことが出来た.

同様のRetrospective Studyは以前にも行われており,Pollock BEらは,ARUBA研究に適格する患者で,定位放射線治療を受けた患者群において,定位放射線治療後から5年目までの年2%の出血性脳卒中リスクが,6~10年目にかけては年0.2%に減少することを報告している(2013年,参考文献2).
ARUBA研究における登録終了後5年間さらには10年間の追跡結果の報告を待ちたい.

執筆者: 

大庭秀雄   

監修者: 

有田和徳

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