転移性脳腫瘍摘出腔への定位放射線照射の意義:単一施設RCTの結果から

公開日:

2017年8月11日  

最終更新日:

2017年8月11日

Post-operative stereotactic radiosurgery versus observation for completely resected brain metastases: a single-centre, randomised, controlled, phase 3 trial.

Author:

Mahajan A  et al.

Affiliation:

Department of Radiation Oncology, The University of Texas MD Anderson Cancer Center, Houston, TX, USA.

⇒ PubMedで読む[PMID:28687375]

ジャーナル名:Lancet Oncol.
発行年月:2017 Aug
巻数:18(8)
開始ページ:1040

【背景】

転移性脳腫瘍の切除後の標準ケアとして,局所再発を防ぐ目的で全脳放射線治療(WBRT)が施行されているが,白質脳症など放射線照射と認知機能低下との関連が指摘されている.これに代わって,摘出腔への定位放射線照射(SRS)が注目されている.The University of Texas MD Anderson Cancer CenterのRaoらは,1〜3個の転移性脳腫瘍の完全切除後の患者を対象として,摘出腔へのSRSが局所再発率を低下させるかを検証する第Ⅲ相RCTを行った(SRS群 n=64;経過観察群 n=68).

【結論】

12ヶ月目の無局所再発率は経過観察群で43%(95% CI 31〜59),SRS群で72%(60〜87)であり(HR 0·46 [95% CI 0·24〜0·88];p=0·015),転移性脳腫瘍摘出腔へのSRSが局所再発を有意に減少させることが示された.なお,いずれの群においても有害事象や治療関連死は認められなかった.

【評価】

転移性脳腫瘍摘出後のSRSの局所コントロールに対する有効性を評価する初のRCTである.3つまでの転移巣に対する摘出腔へのSRSは局所再発を有意に減少させ,逆に切除のみでは長期的な局所コントロールは困難であることが示された.今後,認知機能低下が指摘されるWBRTに代わって,SRSが標準的な補助療法となる可能性が高い.最近出版されたBrown PDらの研究でも,転移性脳腫瘍摘出後のWBRTは腫瘍制御において,SRSに対する優位性を示していない.その一方で認知機能の低下をもたらす事が指摘されている(参考文献1).
今後の研究で,局所コントロールをさらに向上させるためのSRSの線量や照射範囲についても明らかになることを期待したい.

執筆者: 

宇田川梨紗   

監修者: 

有田和徳

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