斜台部脊索腫に対する内視鏡下経鼻手術:16年の経験から

公開日:

2017年8月28日  

Clival chordomas: considerations after 16 years of endoscopic endonasal surgery.

Author:

Zoli M  et al.

Affiliation:

Center of Pituitary and Endoscopic Skull Base Surgery, IRCCS Istituto delle Scienze Neurologiche di Bologna, Italy

⇒ PubMedで読む[PMID:28409727]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2017 Apr
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

内視鏡下経鼻手術(endoscopic endonasal approach:EEA)は頭蓋底病変にも応用されるようになり,斜台部脊索腫はそのよい適応である.イタリアのZoliらは,1998〜2015年の間に斜台部脊索腫に対してEEAを施行した65例(80手術)を後方視的に調べ,摘出度・合併症・生命予後を検討した.初回手術は37例,残りの28例は過去の治療歴を有し,80病変のうち硬膜外病変が55例,硬膜内病変が25例であった.

【結論】

①腫瘍全摘出は47例(58.7%)で,全摘出達成と相関する因子は初回治療,病変の位置が斜台上1/3あるいは中1/3,硬膜外病変そして病理所見がconventional(=classical)chordomaであった.
②合併症率は15.1%で,ほとんどが一過性の症状で,永続した合併症は3例(3.8%)であった.
③17例(26.2%)は腫瘍死し(中央値52ヵ月),5年生存率は77%,10年生存率は57%であった.

【評価】

Brain Tumor Registry of Japan(2005-2008)によると,脊索腫の発生率は全脳腫瘍の0.5%で,5年生存率は90.4%であった(参考文献1).本研究で5年生存率が77%と低い理由は,おそらく再治療例が43%と多く含まれているからと考えられる.論文中に初回治療例のみの生存率は明記されていないが,Figureから推測すると5年生存率90%以上,10年生存率が75%以上と良好な結果が得られていると考えられる.
斜台部脊索腫に対してEEAが有効であることは,すでに報告されている.また,本稿で示された腫瘍全摘出達成と相関する因子は,いずれも予測可能なものであった.
本研究で注目すべき点は,単施設でのEEAによる長期成績を明らかにした点である.すなわち斜台部脊索腫はEEAによって良好な長期治療成績を得ることができる.しかし,過去に治療歴がある患者,あるいは腫瘍全摘出ができなかった患者では,5年生存率が約50%で,斜台部脊索腫が今日でもなお難治性の腫瘍の1つであることを示す結果であった.

執筆者: 

木下康之   

監修者: 

有田和徳

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