悪性髄膜腫の化学療法

公開日:

2017年8月29日  

最終更新日:

2017年8月29日

Antitumor activity of gemcitabine against high-grade meningioma in vitro and in vivo

Author:

Takeda H  et al.

Affiliation:

Department of Molecular Cancer Science, Yamagata University School of Medicine, Yamagata, Japan

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ジャーナル名:Oncotarget.
発行年月:2017 Jun
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

脳腫瘍の中で最も多い髄膜腫は基本的に良性腫瘍であるが,中にはatypical meningioma,anaplastic meningiomaなど悪性のものがある.これら悪性の髄膜腫に対する治療は手術摘出と放射線治療が主体であるが,再発,播種を繰り返し,治療には難渋してきた.少数の化学療法剤の使用経験が報告されてきたが,いずれも効果は限定的で,現在まで有効な化学療法剤が無いのが現状である.著者らは可能性のある化学療法剤をスクリーニングし,その中から臨床試験に値する薬剤を特定した.

【結論】

一連の化学療法剤をスクリーニングした結果,高悪性度髄膜腫細胞は代謝拮抗薬,特にゲムシタビンに対する感受性が高かった.In vitroでは,ゲムシタビンは,s-phase arrestとアポトーシスにより腫瘍細胞の成長を阻害し,In vivoでは,ヌードマウスを用いた異種悪性髄膜腫細胞皮下移植モデルにおいて,腫瘍発生を阻害するばかりでなく,形成された腫瘍を長期的に制御した.ゲムシタビンは高悪性度髄膜腫に対する治療手段として検証するに値する有望な化学療法剤であると提案された.

【評価】

スクリーニングの対象とした薬剤は,gemcitabine,5-fluorouracil,methotrexate,irinotecan,temozolomide,paclitaxel,cisplatin,carboplatin,sunitinib,hydroxyurea,doxorubicinである.
In vitroでは高悪性度髄膜腫細胞は,特にゲムシタビンに対して感受性が高く,驚くことに, IMR90に影響を及ぼさない濃度から増殖が抑制されている.また,ゲムシタビンの高悪性度髄膜腫細胞に対する効果は,ゲムシタビンが臨床上用いられ感受性があるとされている他の癌腫細胞(膵癌細胞株,非小細胞性肺癌細胞株,卵巣癌細胞株)と比較しても良好である.
In vivoでは,ヌードマウスへの悪性髄膜腫細胞皮下移植モデルを用いている.ゲムシタビン投与(20mg/kg腹腔内,2回/weekで4週間)により腫瘍発生が阻害されるばかりでなく,形成された腫瘍(〜300 mm³)に対しても成長を阻害し,長期的に制御している.この効果は,ゲムシタビン反復投与でも明瞭に観察されている.治療後移植腫瘍の組織学的な分析でも,細胞分裂周期停止とアポトーシス細胞死が促進されていることが示されている.また,この投与量は,一般的な治療モデルより低用量であり,ヌードマウスの体重減少も見られていない.
これまでゲムシタビンは悪性髄膜腫に対する治療手段として利用されていないが,今後臨床的な検証が楽しみな結果が示されている.

執筆者: 

平野宏文   

監修者: 

有田和徳

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