Grade III星細胞腫に対するテモゾロミドのRCT(CATNON試験)

公開日:

2017年8月31日  

最終更新日:

2017年8月30日

Interim results from the CATNON trial (EORTC study 26053-22054) of treatment with concurrent and adjuvant temozolomide for 1p/19q non-co-deleted anaplastic glioma: a phase 3, randomised, open-label intergroup study.

Author:

van den Bent MJ  et al.

Affiliation:

Neuro-Oncology Unit, Brain Tumour Centre at Erasmus MC Cancer Institute, Rotterdam, Netherlands

⇒ PubMedで読む[PMID:28801186]

ジャーナル名:Lancet.
発行年月:2017 Aug
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

既に膠芽腫に対する,放射線+テモゾロミド(TMZ)併用治療の有効性は確立している(参考文献1).本研究は,1p19q共欠失のない,すなわち稀突起膠細胞腫を除いた星細胞系のgrade 3の神経膠腫に対するTMZのRCT(EORTC phase 3)の中間報告である.対象は4群:①放射線照射のみ,②放射線照射と同時(concurrent)TMZ,③放射線照射後にTMZ補助療法,④放射線照射同時TMZ後にTMZ補助療法に分けられた.今回は,①+② vs. ③+④でPFSとOSを比較した(TMZ補助療法なし372例,TMZ補助療法あり373例).

【結論】

平均追跡期間27ヵ月で,5年後の生存率は,TMZ補助療法あり群で55·9%(95% CI 47.2–63.8),なし群で44·1%(36.3–51.6)で,TMZ補助療法あり群のTMZ補助療法なし群に対するHRは0.65(99.145% CI 0.45–0.93)であった.単変量解析ではTMZ補助療法ありがOSでもPFSにおいても有意にTMZ補助療法なし群を上回っていた.Cox比例ハザード解析ではOSに関与する因子はTMZ補助療法,年齢(<50歳),全身状態(WHO:PS=0),MGMTプロモーターのメチレーションであった.

【評価】

本邦では,既に神経膠腫全般にTMZの使用が保険適応となっているがGrade II,IIIの神経膠腫に対するTMZ補助療法のエビデンスは未だ乏しい.
本研究は脳腫瘍の分子遺伝学的定義(WHO 2016年)に基づき,1p19q共欠失腫瘍すなわち稀突起膠細胞腫を除いたgrade III神経膠腫を対象とした初めてのTMZ補助療法に関するRCTである.1p19q共欠失腫瘍に比較して,非1p19q共欠失腫瘍では補助化学療法の効果が乏しいことが過去に示されているが(参考文献2),本研究は,TMZ補助療法群では,非補助療法群よりも,OS,PFSが有意に延長していた.有害事象はGrade 3〜4が8〜12%に認められ,その多くは血液学的なもので,可逆性であった.なお,TMZ投与サイクルは膠芽腫に対するStuppレジメの6回に対して本臨床研究では12回となっている.これはconcurrentなTMZ投与がされない群に対して,TMZに対する充分な暴露を保証するという配慮によるものらしい.
一方,この中間解析では,TMZの放射線との同時投与(concurrent treatment)の有効性については示されていないが,これは追跡期間が短いことによるのかも知れない.最終解析で,その有効性についての判断が示されるであろう.放射線にconcurrentなTMZ投与による神経毒性の指摘があるなかで,実は膠芽腫においても未だconcurrentなTMZ投与の臨床的な意義は明らかにされていない.本研究の③群 vs. ④群で,concurrentなTMZ投与の上乗せ効果が示されるかどうかは,長期生存患者におけるQOLの維持という課題とあいまって興味深いところである.
臨床試験名のCATNONはConcurrent and Adjuvant Temozolomide in Non-1p19qの意味か.

執筆者: 

有田和徳

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