破裂脳動脈瘤の手術前脳室ドレナージの髄液排出量と再出血の関係

公開日:

2017年9月16日  

最終更新日:

2017年9月16日

Volume of cerebrospinal fluid drainage as a predictor for pretreatment aneurysmal rebleeding.

Author:

Jasper H. van Lieshout  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Medical Faculty, Heinrich-Heine University Düsseldorf, Germany

⇒ PubMedで読む[PMID:28799877]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2017 Aug
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

破裂脳動脈瘤に対する外科的治療を完遂する前に脳室ドレナージを行うことは,それ自体がくも膜下出血の再出血リスクを高める要因になり得る.しかしながら,急性閉塞性水頭症を合併するなど頭蓋内圧亢進の早急な改善が必要な症例では脳室ドレナージを選択しないわけにはいかない.本研究は,単一施設で経験したくも膜下出血の連続194例を後方視的に評価し,脳室ドレナージのどのような因子が再出血にどう影響するのかを検討したものである(n=194).

【結論】

19例に再出血が生じた.全194例の多変量解析では,「動脈瘤術前の脳室ドレナージの実施」と「WFNS分類≧grade 4」が再出血の独立した危険因子となった.動脈瘤術前に少なくとも6時間以上の脳室ドレナージを行った症例を抽出したところ65例が該当.この65例を対象とした解析では「ドレナージ量が多い事」が再出血の危険因子となった.ロジスティック回帰分析では,「6時間以内のドレナージ量 58ml」が再出血率 50%のカットオフ値として算出され,「6時間以内のドレナージ量≧60ml」群は再出血の相対危険度が5.4(95%CI 2.48~11.77,p <0.001,害必要数=1.687)という結果になった.

【評価】

くも膜下出血の再出血リスクを高める要因に関しては,血圧,動脈瘤径,血腫量,脳室ドレナージを行うことなどがこれまでに報告されてきた.その結果,脳室ドレナージは可能な限り行わずに動脈瘤根治治療が行われるべきとされているが,脳室ドレナージが避けられない場合もしばしば経験する.破裂脳動脈瘤の外科的治療を達成する前に脳室ドレナージを留置しなければならない場合,本研究の結果から,頭蓋内圧だけでなく,脳脊髄液の排液量も考慮に入れたドレナージの管理を行う必要性があるということが示された.
なお脳室ドレナージを留置するタイミングや留置期間に関しては再出血群,非再出血群の両群間の間に有意差を認めていない.
本研究の実施施設では,頭蓋内圧18mmHgが15分間継続した場合に,頭蓋内圧18mmHgに維持できるよう,間欠的に脳室ドレナージのクランプを解除したとされているが,6時間で60mlというドレナージ量は,頭蓋内圧を一定に保つための量としては決して多い方ではない.見方を変えれば,頭蓋内圧が持続的に上がってくる様なくも膜下出血の症例に対しては,頭蓋内圧を少し高めに保つくらいでは再出血予防には不十分であるということを示唆しているとも考えられる.
2011年にはPhillips TJらが,破裂脳動脈瘤に対する外科的治療を原則24時間以内に達成することで,再出血リスクを低減し長期予後を改善させたと報告している(参考文献1).脳脊髄液を6時間60mlペースで排液しても持続的に頭蓋内圧が上昇してくるような場合は,くも膜下出血の臨床Gradeが悪いことも推察されるが,救命を第一に考えるのであれば,なるべく早い段階で根治治療に踏み切った方が良いのかもしれない.

執筆者: 

大庭秀雄   

監修者: 

有田和徳

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