くも膜下出血に伴う脳室内出血の程度(全脳室系の平均吸収値の上昇)は、予後と相関する

公開日:

2017年9月17日  

最終更新日:

2017年9月17日

Radiodensity of intraventricular hemorrhage associated with aneurysmal subarachnoid hemorrhage may be a negative predictor of outcome.

Author:

Nguyen HS  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery,Medical college of Wisconsin,Milwaukee,Wisconsin

⇒ PubMedで読む[PMID:28474990]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2017 May
巻数: [Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

脳室内出血(IVH)の存在,範囲,分布は,動脈瘤性くも膜下出血(SAH)における予後不良と関連している.これまで,IVHのある動脈瘤性SAHの患者の脳室系内の吸収値(HU:Hounsfield Unit)を定量的マーカーとして用いた研究はなかった.ウィスコンシン医科大学のNguyenらは,2011年1月から2015年7月までに,脳室内出血を伴う動脈瘤性くも膜下出血で入院した101症例をレビューし,初診時CTスキャンにおける全脳室系の平均吸収値(HU)と臨床的予後スコア間の関連を検討した.

【結論】

単変量解析において,若年者,高GCSスコア,低Hunt and Hessグレード,そして全脳室平均HUの低値は良好なGOSスコアと関連していた(p<0.05).多変量解析においては,年齢(OR:0.936),GCSスコア(OR:3.422),脳室内平均吸収値(OR:0.937)が独立した予後予測因子であった(p<0.05).
GCSスコアと年齢に加え,脳室内出血をきたしている動脈瘤性くも膜下出血患者の全脳室平均HUは,予後の予測因子として役立つ.

【評価】

これまで報告されているくも膜下出血の予後不良因子としては年齢や来院時の神経症状(WFNS分類,Hunt and Hess分類),Fisher分類,脳室ドレナージを必要とする急性水頭症,脳血管攣縮,再出血などがある.本研究では,これら以外の予後不良因子として,全脳室系の平均Hounsfield unit(HU)に注目して検討している.
くも膜下出血とそれに伴う脳室内出血を評価する基準として,以前より定性的なスコア(Fisherグレード,LeNouxスコア,Graebスコア)が使用されてきたが,これらは客観性に乏しく観察者間で評価差が生じる可能性がある.
本研究では,脳室内出血の定量的な評価方法,すなわち全脳室系のCT上の吸収値(Hounsfield Unit)の平均値を用いている.問題点として,検者が1スライス毎に脳室系を用手的に抽出することに伴う観察者による主観の影響や脈絡叢を脳室面積から除去していないため,患者によっては脳室内吸収値が実際より高くなってしまう危惧がある.
しかしながら,著者らは,検者内,検者間相関係数はそれぞれ0.925と0.997であり,この手法が安定した信頼性のある手法であることを示唆している.
一方,くも膜下出血に伴う脳室内出血の量は,破裂動脈瘤の部位によっても左右されるはずであるが,本論文では,この点に関する言及はない.

執筆者: 

橋元彩   

監修者: 

田中俊一

メールで読みたい方はこちら

メルマガ登録する