好中球数の減少率はIDH-wildtype GBMの予後を予測する

公開日:

2017年10月15日  

最終更新日:

2017年10月15日

Prognostic importance of temozolomide-induced neutropenia in glioblastoma, IDH-wildtype patients.

Author:

Saito T  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Graduate School of Biomedical and Health Science, Hiroshima University

⇒ PubMedで読む[PMID:28887717]

ジャーナル名:Neurosurg Rev.
発行年月:2017 Sep
巻数: [Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

テモゾロミド(TMZ)内服はGBMに対する標準治療のひとつであるが,その投与時の血球数変化と生存期間との関連が指摘されている.Saitoらは,Hiroshima大学で標準治療(外科手術,放射線照射,TMZ内服)を受けた原発性GBM 50症例(テント上病変,IDH-wildtype)を対象に血球減少とOS,臨床情報(年齢,性別,KPS,切除範囲,MGMT変異)との関係を検証した.評価対象とした好中球減少率は照射前の好中球数と照射中(同時併用TMZ中)の好中球数最低値から求めた.

【結論】

年齢,KPS,切除範囲,MGMT変異,ならびに白血球数(p=0.0218),好中球数(p=0.0015),血小板数(p=0.0177)の減少率はOSと相関した.
MGMT変異陰性群では,好中球数の減少率はOSと有意に相関した(p=0.0001)のに対し,陽性群では相関が認められなかった.これは,年齢,性別,KPS,切除範囲の調整後も同様であった(P<0.001).
治療後2年以上生存した群とそうでない群は好中球数の減少率で最も確実に区別でき,最適なカットオフ値は43%であった(感度86%,特異度72%).

【評価】

本研究に用いた項目は下記の基準で評価された.
年齢(< 60 vs. ≥ 60歳),性別,Karnofsky performance status(KPS)(< 80 vs. ≥ 80),切除範囲(全摘除 vs. 部分切除もしくは生検),MGMTのメチル化,白血球数の減少率(平均38%;< 38 vs. ≥ 38%),好中球数の減少率(平均40%;< 40 vs. ≥ 40%),リンパ球数の減少率(平均43%;< 43 vs. ≥ 43%),赤血球数の減少率(平均-2%;<-2 vs. ≥-2%),血小板数の減少率(平均31%;< 31 vs. ≥ 31%).
TMZ投与による血小板または白血球の減少率とGBMの予後に関しては,既に複数の研究がなされているが(参考文献1,2),好中球に関しては本稿が初めてである.また,以前の研究はIDH変異を考慮しないものであったが,IDH-wildtype GBMはOSが短く,TMZに対する抵抗性が高いという特徴があるため個別に検討する必要があった.本研究はIDH-wildtype GBMの予後を好中球数という簡便な検査項目で予測できることを示した点で重要である.
興味深いのは,なぜ好中球が減少した症例で長期生存が得られるのかというメカニズムであるが,著者らは,①好中球減少がTMZ血中濃度の上昇を反映している可能性,②腫瘍組織内の好中球が腫瘍の伸展や新生血管の導入と関わっている可能性,③腫瘍幹細胞と骨髄幹細胞のTMZに対する感受性に何らかの共通点がある可能性を上げているが,今後明らかにすべき課題である.
今回発見された好中球減少と予後との相関については,確かに著者らが言うように,前向きスタディーで再検討されるべきであるが,既に大きなコホートのデータが存在しているので,同様の結果が得られるのか,他の臨床研究グループからの報告が待たれる.

執筆者: 

牧野隆太郎   

監修者: 

有田和徳

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