狭窄近位部石灰化とJellyfish signはCAS後の脳梗塞の危険因子である

公開日:

2017年10月16日  

最終更新日:

2017年10月16日

Predicting ischemic stroke after carotid artery stenting based on proximal calcification and the jellyfish sign.

Author:

Nobuhiko Ichinose  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Graduate School of Biomedical and Health Science, Hiroshima University, Hiroshima, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:28686117]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2017 Jul
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

頚動脈ステント留置術(CAS;Carotid artery stenting)の主な合併症に脳梗塞がある.筆者らはCAS後脳梗塞の危険因子を探るため,Jellyfish signと,プラークの石灰化も加えた多数の因子を解析し,CAS後脳虚血巣の危険因子を探索した(N=117).
Jellyfish signは頚部内頸動脈狭窄症患者の頸動脈エコーで認められる心拍と非同期性のプラーク壁の上昇・下降の動きであり,あたかも海中のクラゲのような動きに見えるためこの名称がついている(参考文献1).

【結論】

拡散強調(DWI,b値1000と4000)MRでは41.9%に新規脳虚血巣が見いだされた.画像統計的解析では,Jellyfishサイン,狭窄近位部石灰化,LDLコレステロール濃度がCAS後虚血巣の予測因子として挙げられた.このうちJellyfish signと狭窄近位部石灰化が特に統計的有意であり,CAS後脳虚血巣の数は,この2因子が加わった時に最も多くなるという相加効果が認められた.

【評価】

日本脳血管内治療学会のガイドラインによると,CASの適応基準は,SAPPHIREスタディーに沿って,症候性狭窄50%以上または,無症候性狭窄80%以上とされているが,CAS後の脳梗塞危険予測の観点では狭窄率よりむしろ,頚動脈プラークの性状が重要な因子として注目されつつある(参考文献2).頸動脈超音波検査では,可動性プラークのうちJellyfish signを示すプラークを有する例では脳梗塞が発症しやすい事が報告されており(参考文献1),Jellyfish signは不安定プラークの指標の一つとされている.
一方,プラークの石灰化は,安定要素とも不安定要素とも言われており,定説はない.可及的均一な環境下で,高感度DWIも加えてCAS後の脳虚血巣の検出を行い,Jellyfish signとプラークの石灰化を含んだ多数のリスク因子を評価している点が,この論文の特徴である.
筆者らはdual protection combined with blood aspiration(参考文献3)という複数の塞栓予防策のコンビネーションを全症例で用いており,結果として低い合併症率(重症合併症0%,軽症合併症2.32%)を獲得している.症例毎に塞栓予防策を選択している施設では,Jellyfish signと狭窄近位部石灰化が認められる症例では塞栓性合併症のリスクが特に高いことを考慮して,厳密な塞栓予防策を採用すべきであろう.
また,これらの2因子はいずれも,通常の外来にて評価可能である事も意義深い.
本稿では複数の多変量解析に加え,因子数が多い事もあり機械学習法も用いて評価しており,今後症例数の増加により一層精度の高い危険因子抽出が期待される.

執筆者: 

有田和徳

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