薬剤抵抗性内側側頭葉てんかんにおけるBrain-responsive neurostimulationによる発作減少率は70%

公開日:

2017年10月18日  

最終更新日:

2017年10月18日

Brain-responsive neurostimulation in patients with medically intractable mesial temporal lobe epilepsy.

Author:

Geller E  et al.

Affiliation:

Adult Comprehensive Epilepsy Center at Saint Barnabas Medical Center

⇒ PubMedで読む[PMID:28398014]

ジャーナル名:Epilepsia.
発行年月:2017 Jun
巻数:58(6)
開始ページ:994

【背景】

Brain-responsive neurostimulationは,薬剤抵抗性てんかんに対する外科的治療で,てんかん焦点に設置した電極(深部電極,ストリップ電極を最大4本使用可能)から得られた脳波を自動で解析し,必要に応じててんかん焦点に刺激を行う.本研究は,成人における薬剤抵抗性内側側頭葉てんかんに対するBrain-responsive stimulationの術後2〜6年の治療効果を検討した.

【結論】

対象は111例の内側側頭葉てんかんで,72%は両側性で28例が片側性にてんかん焦点を認めた.76例では深部電極のみ,29例では深部電極とストリップ電極,6症例ではストリップ電極のみが設置された.観察期間は平均6.1±2.2(SD)年で,最終観察時の発作減少率は70%(中央値)だった.29%の症例で6ヶ月以上の,15%の症例で1年以上の発作消失期間を認めた.手術による合併症は創部感染が11.7%,電極損傷が6.3%,脳出血が2.7%の症例に認められた.観察期間中に6例の死亡があり,1例はうつの既往があり自殺,5例はSUDEP(2例は刺激中断中)によるものであった.

【評価】

Brain-responsive neurostimulation system(RNS)は頭皮下に埋め込んだ刺激装置本体を,最大4本の深部あるいはストリップ電極と接続し,刺激を行う治療である.てんかん発作をリアルタイムで検出し,発作波を自動解析し,適宜脳への電気刺激を行うことができる.体外から通信して,直近の発作状況を確認することも可能で,発作パターンを認識し,刺激方法を変更することもできる.このようなオンデマンドの刺激(closed-loop)の他に,あらかじめ設定しておいた強度,間隔の刺激を行う(open-loop)こともできる(参考文献1).
内側側頭葉てんかんは従来,てんかん外科治療の良い適応であるが,左右独立したてんかん焦点を持つ症例や,術後記憶障害の可能性が高い症例には切除外科は困難であった.RNSの登場により,これらの症例にもVNS以外の新たな外科的介入が可能となった(本邦では未承認).VNSと同様に長期の刺激で発作減少率が上昇し,プラトーに達する特徴がある.本研究によるとRNSにより平均70%の発作減少と,61.3%のresponder rateが期待できるが,術後創部感染などのリスクもあり,有用性の確立にはさらなる症例の蓄積が必要と考えられる.
なお,本研究では海馬硬化症,両側独立した発作起始,頭蓋内モニタリング・VNSの既往の有無による発作減少の違いは認めなかった.

執筆者: 

片桐匡弥   

監修者: 

有田和徳

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