多分割ガンマナイフの初期治療成績―上顎固定: Extendシステムを用いて―

公開日:

2017年11月10日  

最終更新日:

2017年11月10日

Emerging Indications for Fractionated Gamma Knife Radiosurgery.

Author:

McTyre E  et al.

Affiliation:

Department of Radiation Oncology, Wake Forest School of Medicine, Winston-Salem, North Carolina, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:28536486]

ジャーナル名:Neurosurgery.
発行年月:2017 Feb
巻数:80(2)
開始ページ:210

【背景】

ガンマナイフは腫瘍の形状に合わせた正確な照射線量分布を作ることが可能で,このため現在,ガンマナイフは脳腫瘍に対する治療の重要な柱になっている.しかし,ガンマナイフの正確な照射線量分布が求められながらも,一回照射では治療困難な腫瘍も多い.本研究は,従来のピン固定に変わって,上顎で頭部を固定するExtendシステム(2010-)を用いた多分割ガンマナイフ治療の経験をまとめたものである.10 cc以上の腫瘍体積,視路に隣接する腫瘍,聴力温存を目指した前庭神経鞘腫,過去に単回ガンマナイフ照射が施行された腫瘍を対照とした(n=34).

【結論】

内訳は髄膜腫15例,下垂体腺腫11例,転移性脳腫瘍6例,前庭神経鞘腫4例,血管芽細胞腫1例であった.辺縁線量16〜32 Gyが4〜5回に分けて照射された.視路の周囲の腫瘍21例で視力は不変か改善しており,4例の前庭神経鞘腫で聴力が保たれていた.追跡期間中央値9.2ヵ月で,照射に特有な合併症は無かった.

【評価】

Extendシステムは上顎の歯形に合わせたマウスピースと吸引装置で頭部を固定するもので,0.5 mmの機械的精度が得られる.良性腫瘍では,基本的に辺縁線量20 Gyを,悪性腫瘍(転移性腫瘍)では20〜32 Gyを4〜5回に分けて照射している.腫瘍の大きさは髄膜腫で最大52 cc,転移性腫瘍で最大21 ccであった.すでに,同装置を用いた視路周囲の髄膜腫に対する多分割ガンマナイフ治療の経験が報告されているが(参考文献1,2),本研究は,改めてこの治療の実行可能性(feasibility)を証明した.長期予後については,未だ何かを語れる症例数と追跡期間ではない.しかし,視路や聴神経に接している腫瘍では,腫瘍への十分な線量を維持しながら神経への放射線障害を避けようと考えれば多分割は重要な選択肢である.また,高線量の照射が必要な悪性腫瘍(転移性腫瘍)では周囲脳の放射線壊死を避けるために,これまでもサイバーナイフによる分割定位照射が行われている.これからガンマナイフによる定位的分割照射の対照領域は拡大していくと考えられる.既にエレクタ社は次世代の分割照射システム(Icon, 2015-)を販売しており,日本国内でも普及しつつある.これはcone-beam CTと赤外線追跡装置を登載しており,通常の放射線治療で用いられるようなプラスチックシェルで頭部を固定して,複数日に分けたガンマナイフ照射が可能となっており,Extendに比較すればさらに,患者に優しいシステムということが出来る.
こうなると脳腫瘍に対する定位照射におけるサイバーナイフとの棲み分けがどうなるのか,興味深いところである.

執筆者: 

有田和徳   

監修者: 

八代一孝

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