脳溝底部FCDの脳磁図ダイポール・クラスターの位置:脳表型FCDとの比較

公開日:

2017年12月8日  

最終更新日:

2017年12月10日

Remote MEG dipoles in focal cortical dysplasia at bottom of sulcus.

Author:

Nakajima M  et al.

Affiliation:

Division of Neurology, The Hospital for Sick Children, Toronto, Ontario, Canada

⇒ PubMedで読む[PMID:27254541]

ジャーナル名:Epilepsia.
発行年月:2016 Jul
巻数:57(7)
開始ページ:1169

【背景】

局在性皮質形成異常症(FCD)は病変そのものにてんかん原性が存在し,その摘出は良好な発作コントロールをもたらす.一般に脳表のFCDでは,脳磁図(MEG)の電流双極子(ダイポール)はFCDの部位に重なるクラスターを示す.脳溝底部FCDは小さいながらも,やはり強いてんかん原性を示すが,MEGダイポールクラスターの部位とFCDの部位との関係は充分に明らかにはなっていない.トロント大学のNakajimaらは,FCDタイプIIを有する小児患者(平均8.8歳)を対象に溝底部FCDと脳表FCDにおけるMEGクラスター部位を比較検討した(n=17例;脳溝底部FCD8例,脳表FCD9例).

【結論】

脳溝底部FCDは脳表FCDに比較して小さかった(平均:3.1 vs. 15.5 mm3,p=0.079).脳溝底部FCD患者のMEGダイポールは6例がクラスターを作り,2例が分散していた.MEGダイポールの局在は,4例がFCDの存在部位に重なり,4例が離れていた.脳表FCDでは8例がダイポールのクラスターを作り,1例が分散していた.局在は8例がFCDに重なり,1例が離れていた.
脳溝底部FCDではクラスターが認められない症例とクラスターとFCDが離れている症例ではFCD切除のみを行い,クラスターがFCDに重なる症例ではFCD切除に加えてクラスター切除が施行された.全例で手術後,痙攣発作が消失した.
すなわち,MEGダイポールが離れた部位に出現する脳溝底部FCDでは,FCD病変の切除がてんかん制御に有効であった.

【評価】

最近,3TMRIの普及とともに,小児難治性てんかん患者で,脳溝底部に存在する小さなFCDの発見が増えている(参考文献1,2).本研究は,脳表FCDと比較しながら,脳溝底部FCDにおけるMEGダイポール・クラスターの存在部位を検討したもので,脳溝底部FCDでは半数(4/8)でFCDとは離れた部位にMEGクラスターが出現することを明らかにした.
この原因として著者らは,脳溝底部FCDでは,①脳溝底部の向かい合う皮質が同時に電気的に活性化すると互いの磁場がキャンセルされること,②病変内の神経細胞密度が低いこと,③病変が小さいことを上げている.また,このようなケースでは,MEGクラスターの部位とは関係なく,FCD病変の切除がてんかん発作の制御をもたらすことを示している.
一方,FCDの部位にMEGクラスターが一部重なる脳溝底部FCDや脳表FCDでは,てんかん原性領域はMRIで示されるFCDの範囲を超えている可能性があるので,FCD切除に加えたクラスター切除の必要性を検討すべきであるという.
本研究は,脳溝底部FCDにおけるMEGクラスターとてんかん原性領域の関係を示した点で画期的であるが,症例数が8例と少なく,今後世界的に追試される必要性がある.

執筆者: 

細山浩史   

監修者: 

有田和徳

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