成人発症先天性正常圧水頭症は特発性正常圧水頭症とは異なる

公開日:

2017年12月8日  

最終更新日:

2018年3月7日

Fluid Distribution Pattern in Adult-Onset Congenital, Idiopathic, and Secondary Normal-Pressure Hydrocephalus: Implications for Clinical Care.

Author:

Yamada S  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Normal Pressure Hydrocephalus Center, Rakuwakai Otowa Hospital, Kyoto, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:29163345]

ジャーナル名:Front Neurol.
発行年月:2017 Nov
巻数:8
開始ページ:

【背景】

著者らは,これまで水頭症の画像,病態について研究を重ねてきたが,新たに成人発症先天性水頭症の画像上の特徴を求めた.成人の特発性正常圧水頭症85例,続発性正常圧水頭症17例,成人発症先天性水頭症7例を対象に脳室内とクモ膜下腔の髄液容量を検討した.

【結論】

成人発症先天性正常圧水頭症では特発性および続発性の正常圧水頭症水頭症に比較して頭蓋内髄液容積は100 ml 以上多く,特に脳室サイズが大きかったが,クモ膜下腔サイズは正常であった.特発性正常圧水頭症では成人発症先天性正常圧水頭症に比較して,相対的な高位円蓋部クモ膜下腔容量は有意に小さく,相対的な頭蓋底脳槽容量,相対的なシルビウス裂容量は2倍以上大きかった.成人発症先天性正常圧水頭症では特発性正常圧水頭症に比較して症状の進行はよりゆっくりであった.
すなわち,髄液の分布と症状において,成人発症先天性正常圧水頭症は特発性あるいは続発性正常圧水頭症とは異なることがわかった.

【評価】

最近積み重ねられてきた臨床研究の結果から,特発性正常圧水頭症に対するシャント手術の有効性は確立してきたが(参考文献1),同シャント手術に対する有効性への疑いの声も残っている.著者らは,この原因が成人発症先天性正常圧水頭症と特発性正常圧水頭症の混同にあるのではないかと考えて,本研究を行っている.その結果,頭蓋内髄液分布においても症状進行のスピードにおいても,成人発症先天性正常圧水頭症と特発性正常圧水頭症は区別可能であった.成人発症先天性正常圧水頭症は中脳水道狭窄,後頭蓋窩異常(Blakeポーチ囊胞),PaVM (panventriculomegaly with a wide foramen of Magendie and a large cisterna magna)などを伴い,40〜90歳台に,歩行障害,記銘力障害,尿失禁で発症するが,その進行は緩徐である.画像ではDESHを伴わない全脳室拡大が特徴である.成人発症先天性正常圧水頭症ではシャント手術の効果は,特発性正常圧水頭症に比較して悪い.
著者らが言うように,欧米では特発性正常圧水頭症の画像診断,臨床診断に関する認識が低く,このため真の特発性正常圧水頭症が見落とされ,専らシャント手術の効果が少ない成人発症先天性正常圧水頭症に手術が行われているとすれば,特発性正常圧水頭症に対するシャント手術に対して否定的であるのも理解可能である.

執筆者: 

有田和徳

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