特発性と続発性の正常圧水頭症の髄液スペースの違い:下角脈絡叢を通した髄液の流れが関与している

公開日:

2017年12月8日  

最終更新日:

2018年3月7日

Choroidal fissure acts as an overflow device in cerebrospinal fluid drainage: morphological comparison between idiopathic and secondary normal-pressure hydrocephalus.

Author:

Yamada S  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Normal Pressure Hydrocephalus Center, Rakuwakai Otowa Hospital, Kyoto, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:27941913]

ジャーナル名:Sci Rep.
発行年月:2016 Dec
巻数:
開始ページ:

【背景】

正常圧水頭症の原因には,クモ膜下出血や髄膜炎後に生じる続発性と,先行するイベントのない続発性があるが,その両者の画像像上の特徴は充分に解明されていない.著者らは高分解能MRI三次元髄液腔画像を作成し,その違いを求めた.またその結果から,脈絡叢組織のoverflow deviceとしての意義を検討した(N=98;続発性正常圧水頭症 52例,続発性正常圧水頭症15例,年齢をマッチさせた対照31例).

【結論】

クモ膜下腔全体の容積は対照に比較して続発性正常圧水頭症では小さく,特発性正常圧水頭症では同一であった.
特発性正常圧水頭症では頭蓋底クモ膜下腔とシルビウス裂の容積は拡大しており,高位円蓋部クモ膜下腔は縮小していた.この所見は側脳室の縦(Z)方向への拡大と同時に認められた.著者等は特発性正常圧水頭症において特有な頭蓋底クモ膜下腔とシルビウス裂の容積の拡大(DESH)の原因を側脳室下角脈絡裂からの迂回槽への髄液の流出によるものであろうと推測している.

【評価】

著者らは,従来から続発性正常圧水頭症の画像の特徴を,頭蓋底クモ膜下腔とシルビウス裂の容積の拡大,高位円蓋部クモ膜下スペースの狭小,側脳室体部の縦方向への拡大(Z-Evans index>0.4),脳梁角の鋭化としてまとめているが,この三次元髄液腔解析でも,そのことが確認出来ている.本報告とその後に発表された成人発症先天性水頭症における髄液分布のパターンに関する研究(参考文献1)を併せると,3種類の正常圧水頭症(続発性,特発性,成人発症先天性)の全ての髄液分布のパターンの特徴が明らかになっている.
本研究で新規な点は,特発性正常圧水頭症において特有な頭蓋底クモ膜下腔とシルビウス裂の容積の拡大(DESH)の原因を,側脳室下角脈絡裂からの迂回槽への髄液の流出によるものであろうと推測している点である.画像上も発性正常圧水頭症では側脳室下角脈絡ポイントの開大が認められる.これに対して続発性正常圧水頭症では,クモ膜下腔における髄液の流れがブロックされるため,このような代償機構が働かず,全脳室系は均等に拡大し,クモ膜下腔容積は縮小する.
また,著者らは側脳室の縦方向への拡大にも頭蓋底クモ膜下腔とシルビウス裂の拡大が関与していると仮説している.

執筆者: 

有田和徳

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