巨大な海綿静脈洞部海綿状血管腫に対するサイバーナイフ

公開日:

2018年1月2日  

最終更新日:

2018年1月2日

Hypofractionated stereotactic radiosurgery: a new treatment strategy for giant cavernous sinus hemangiomas.

Author:

Wang X  et al.

Affiliation:

Departments of Neurosurgery and CyberKnife, Huashan Hospital, Fudan University, Shanghai, China

⇒ PubMedで読む[PMID:28298046]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2018 Jan
巻数:128(1)
開始ページ:60

【背景】

海綿静脈洞内の海綿状血管腫(cavernous sinus hemangioma:CSH)は安易に摘出しようとすれば,大量の出血に見舞われることは良く知られている.このため,その治療としてはガンマナイフによる定位放射線治療が用いられることが多いが,腫瘍径が大きい場合,内頸動脈,脳神経,周囲脳の放射線障害が問題となる.上海市復旦大学のWangらは,このような巨大CSH(腫瘍体積>40 cm³)に対するサイバーナイフによる寡分割照射の効果を検討した(N=31).腫瘍体積中央値は64.4 cm³(range 40.9–145.3 cm³).照射は3〜4回に分けて実施された.照射辺縁線量(isodose:55%)の中央値は,3回照射の11例では21 Gy(range 19.5–21 Gy),4回照射の20例では22 Gy(range 18–22 Gy).照射後の経過観察期間中央値は30ヵ月.

【結論】

最終追跡時の腫瘍体積縮小率中央値は88.1%(range 62.3%–99.4%)であった.10例は照射中に頭痛や嘔気などを訴えたが,何れもステロイド剤の投与で症状消失した.有症候性であった30例中19例で症状の完全寛解,11例で部分寛解が得られた.1例で,抗けいれん剤でコントロール可能な痙攣が起きたが,それ以外では追跡期間中,照射による合併症は起こらなかった.

【評価】

わずか6年あまりで,単一施設で31例を集めるという症例集積力に先ず驚かされる.
最近,出版されたCSHに対するガンマナイフ治療の報告では,対象腫瘍の体積は9.3 cm³(中央値)(range 1.5–42.1 cm3)であるので,40cm³以上の巨大CSHは,ガンマナイフ治療の対象外として外されていたことが想像出来る(参考文献1).
CSHの中には巨大になるまで,症状が乏しい症例があり,そのような巨大なCSHでは確かにガンマナイフによる単回照射は躊躇されるが,本研究では,サーバーナイフによる寡分割照射が有効なことを示した.
一方,最近,ガンマナイフの方でも進歩があり,cone beam CTとフェースマスクを使用した分割照射が可能になっており(参考文献2),巨大脳腫瘍に対する定位放射線照射は寡分割高線量照射の方向に向かっていると思われる.

執筆者: 

有田和徳

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