MRI非対応の心臓デバイスが埋め込まれている患者に対するMRI検査は本当に危ないのか

公開日:

2018年1月3日  

最終更新日:

2018年1月2日

Safety of Magnetic Resonance Imaging in Patients with Cardiac Devices.

Author:

Nazarian S  et al.

Affiliation:

Department of Medicine-Cardiology, University of Pennsylvania Perelman School of Medicine, Philadelphia, Pennsylvania

⇒ PubMedで読む[PMID:29281579]

ジャーナル名:N Engl J Med.
発行年月:2017 Dec
巻数:377(26)
開始ページ:2555

【背景】

心臓植込み型電気的デバイス(Cardiac Devices:ペースメーカー,除細動器)が植込まれた患者では,MRI検査によってリードの発熱,意図しない心刺激,マグネットによるリセットなどの合併症が起こり得る可能性があり,死亡例の報告もある.このため,従来の心臓植込み型電気的デバイス植え込み患者ではMRIは原則禁忌となっている.近年,MRI検査が可能な心臓植込み型電気的デバイスが開発され,いまやMRI対応型デバイスの方が主流になっているが,その場合でもMRI検査にあたっては厳密な実施条件,施設基準を遵守する必要性がある(参考文献1).PhiladelphiaのNazarian Sらは1,509例を対象に従来型のMRI非対応心臓植込み型電気的デバイス装着患者における1.5T MRI撮影の安全性を前方視的に検討した.

【結論】

2,103回の1.5T MRI検査が実施され,このうち頭部MRIは52%,胸部は12%であった.MRI撮影前に,ペーシング依存患者では非同期モードへ,他の患者ではデマンドモードに切り替えた.頻拍性不整脈治療機能は解除した.
全例で長期の臨床的有害事象は認められなかった.MRI直後で最も頻度の高い異常はP波振幅の低下で,1%に発生した.長期的にはP波振幅の低下,心房補足閾値の上昇,右室補足閾値の上昇,左室補足閾値の上昇がそれぞれ3〜4%に認められたが,これらの変化は,臨床的意義はなく,機器の交換やリプログラミングを要しなかった.

【評価】

本年2月号のNEJMでも,適切なスクリーニングを行い,事前に規定したプロトコールに従い,MRI前にデバイスを再プログラミングする,MRI前後にデバイスの動作確認を行うなどの手順を踏めば,従来のMRI非対応型心臓植込み型電気的デバイス装着患者でも,胸郭以外を対象とした場合1.5T MRI検査が安全に実施可能であることが報告されてきた(参考文献2).
今回のNazarianの研究では,胸郭部を含むMRI検査を受けた約1,500例中1例のみで,MRI検査後にプログラミング障害が起こりデバイスの取り替えが必要となった.このデバイスはバッテリー式でバッテリー寿命が尽きかけていた.それ以外には臨床的に意味のある有害事象は起こらなかった.
本研究は,MRI非対応心臓電気的デバイス植込み患者におけるMRI検査実施の可能性をさらに広げるものと考えられる.今後は,日本医学放射線学会,日本磁気共鳴医学会等で,これらの前向き研究の報告を受けて,新たなガイドライン,施設基準が策定されることを望みたい.

執筆者: 

有田和徳

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