脳磁図はステレオ脳波電極設置部位とてんかん焦点切除範囲の決定に有用である

公開日:

2018年1月30日  

最終更新日:

2018年4月5日

Correlating magnetoencephalography to stereo-electroencephalography in patients undergoing epilepsy surgery.

Author:

Murakami H  et al.

Affiliation:

Epilepsy Center, Cleveland Clinic, OH, USA

⇒ PubMedで読む[PMID:27567464]

ジャーナル名:Brain.
発行年月:2016 Nov
巻数:139(11)
開始ページ:2935

【背景】

脳磁図(MEG)とステレオ脳波(SEEG)は,難治性局在性てんかん症例の中で,特に焦点探決定が難しい症例において必要とされている.本研究では,等価双極子(dipole)集簇(cluster)に関する脳磁図所見とステレオ脳波所見,焦点切除範囲とてんかん発作術後転帰との関係が検討された.

【結論】

脳磁図等価双極子集簇が完全に切除された症例は,部分切除や全く切除されていない症例と比べ,有意に術後発作消失が多かった(P=0.007).さらに,ステレオ脳波が,脳磁図でてんかん焦点として特定された領域を完全にカバーされている症例は,部分的にカバーあるいは全くカバーされていないものに比べ,有意に発作消失が多かった(P=0.012).脳磁図と発作間欠期あるいは発作時ステレオ脳波の所見が部分的にしか一致していない症例は一致しているものと比較して発作消失が有意に少なかった(P=0.0075).これらの結果から,ステレオ脳波設置とそれに続く焦点切除範囲の決定に脳磁図所見が有効であることが示された.

【評価】

脳磁図と頭蓋内脳波所見との比較は,これまでに多くなされてきたが,多くは硬膜下電極と深部電極を併用した頭蓋内脳波との比較が主だった.硬膜下電極は表層のてんかん焦点の検索や,脳機能マッピングには有用であるが,深部のてんかん活動の評価は不十分になりがちで,また開頭する必要があるため,電極設置が片側となることが多い.近年,ステレオ脳波が注目されてきており,硬膜下電極を用いた頭蓋内脳波と比較すると,深部の焦点や,より広い範囲でのてんかん活動を評価することが可能である.
一方,脳磁図は非侵襲的で,頭皮脳波と比べ,脳全体をより高密度に調べることが可能である.また,高い空間分解能と時間分解能を持っており,焦点検出がより困難な局在関連性てんかんで用いられている.この特性から,脳磁図の所見がステレオ脳波の電極設置の部位決定に有効であると考えられる.しかし,これまで脳磁図とステレオ脳波の関連を調べた研究としては少数例を対象としたものが散見されるのみであった(参考文献1).
本研究では症例数が多く,どのような脳磁図所見がステレオ脳波後の焦点切除の転帰に影響するかを詳細に検討している.ステレオ脳波を根拠とした焦点切除における脳磁図の有効性を明らかにした点で意義深い研究と考えられる.
本研究では,上述の結果に加え,脳磁図で双極子が一箇所で密に集簇しているのみの症例は,それに加えてまばらに等価双極子が認められるもの(P=0.049)や粗に等価双極子が認められるもの(P=0.018)よりも発作消失がより期待できることを示した.また,脳磁図等価双極子が近接した主要な脳溝に対して安定して垂直に集簇しているものはそうでない位置関係のものと比較し,より高い発作消失が認められる(P=0.042)ことも発見している.

執筆者: 

片桐匡弥   

監修者: 

有田和徳

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