Atypical meningiomaに対する肉眼的全摘術後の放射線照射は有効か

公開日:

2018年3月21日  

最終更新日:

2018年4月18日

Gross total resection and adjuvant radiotherapy most significant predictors of improved survival in patients with atypical meningioma.

Author:

Nicholas R.  et al.

Affiliation:

Department of Radiation Oncology, Northwestern Brain Tumor Institute, Robert H. Lurie Comprehensive Cancer Center, Northwestern University, Chicago, Illinois.

⇒ PubMedで読む[PMID:29131312]

ジャーナル名:Cancer.
発行年月:2018 Feb
巻数:124(4)
開始ページ:734

【背景】

Atypical meningioma(WHO grade 2)とAnaplastic meningioma(WHO grade 3)はbenign meningioma(WHO grade 1)に比べて,その頻度は少ないが,浸潤性病変では,局所的な再発を繰り返すことが多く,生存率は低い.これらの腫瘍に関する臨床データの少なさもあって,最善の治療はまだ決まっていない.Northwestern大学のNicholas Rらは,米国のThe National Cancer Data Base(2004-2014)から7,811例のatypical meningiomas,1936例のanaplastic meningioma,60,345例のbenign meningiomaを抽出し,生命予後に影響を与える因子を検討した.

【結論】

Begnin meningioma・atypical meningioma・anaplastic meningiomaのそれぞれの5年生存率は,85.5%・75.9%・55.4%(P<0.0001)であった.Atypical meningiomaにおいて肉眼的全摘出(GTR)と術後放射線照射(RT)は,独立した生命予後改善因子であり,特にGTRとRTの組み合わせは生命予後を改善させた(ハザード比 0.47;P=0.002).

【評価】

Benign meningiomaとanaplastic meningiomaに対する至適な治療法については一定の合意がなされており,一般に前者には摘出後経過観察が,後者には摘出後の放射線照射が行われている.しかし,atypical meningiomaに関してはそのような明確な合意は存在しない.本研究は,atypical meningiomaとanaplastic meningiomaと合わせて約1万例という過去最大規模のコホートを対象として,至適治療法を検討したものである.
規模の大きな先行研究としては,1995年のNCDB studyがあるが(参考文献1),これによればGTRが生命以後の改善と相関したが,RTはそうではなかった.2015年のSEER解析では,やはり手術摘出度が,強力な予後予測因子であった(参考文献2).しかし,これらの先行研究は,何れも対象が1000例以下と少なかった.
本研究によってatypical meningiomaにおけるGTRとRTの併用療法の有効性が証明されたわけであるが,本研究対象でも,実際に放射線照射を受けた患者の割合は低く,atypical meningiomaで23.5%にとどまっており,GTRを達成したことが,RTを受けないことと逆相関していた(OR;0.57, P<0.001).
今後,本研究で示されたatypical meningiomaに対するRTの効果が,現在進行中のRCT(ROAM-trial/EORTC-1308)(参考文献3)等で検証されれば,RTがGTR達成後のatypical meningiomaに対するルーチンの治療法となる日が来るかも知れない.
なお,本研究対象患者では,アフリカ系アメリカ人の生存率が低いことが示されたが,その理由がRTを受ける頻度が低いことに帰することは出来なかった.今後,その理由の解明が待たれる.

執筆者: 

小林広樹   

監修者: 

有田和徳

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