妊娠はグリオーマの増悪因子か

公開日:

2018年3月23日  

最終更新日:

2018年4月18日

Interactions between glioma and pregnancy: insight from a 52-case multicenter series.

Author:

Peeters S  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, Sainte-Anne Hospital, Paris

⇒ PubMedで読む[PMID:28298039]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2018 Jan
巻数:128(1)
開始ページ:3

【背景】

これまで,グリオーマ患者の妊娠には痙攣や腫瘍増大,悪性度の変化などのリスクを伴うとの報告があったが,その詳細は不明であった.本稿はフランスのグリオーマ合併妊娠患者52症例を対象に,臨床徴候,腫瘍増大の速度(velocity of diametric expansion:VDE),分娩の経過を調査した多施設後ろ向き研究である.対象52例(グリオーマの診断が妊娠に先行したもの:24例,妊娠中にグリオーマと診断されたもの:28例).

【結論】

グリオーマ先行群のVDEは妊娠中に有意に増加し(1.0±3.2mm/年),出産後に有意に減少(2.0±4.9mm/年)した(p<0.001,p=0.032).妊娠先行群の出産後VDE(10.1±4.7mm/年)は妊娠中(23.5±15.1mm/年)と比較して有意な減少はみられなかった(p=0.250).分娩後に治療を要した群は妊娠中のVDE増加が大きく(p=0.047),分娩後のVDE減少が少なかった(p=0.049).

【評価】

妊娠中にグリオーマが発見される例や,グリオーマ患者が挙児希望であるような症例はしばしば遭遇する.しかしグリオーマが妊娠に与える影響については十分な検討がなされてこなかった.本研究では,グリオーマ合併妊産婦の長期予後に関する結論は得られないが,妊娠が腫瘍容積の増大に関係することが示唆された.分娩・発達に関しては,52例中2例で,人工妊娠中絶がなされた(理由は放射線治療1例,胎児機能不全1例)のを除き,フォローされた児全てで発達異常はなかった(n=39,39.5±48.3ヶ月).免疫組織学的検討がなされた32腫瘍では,progesterone,estrogen,あるいはGH受容体は認められなかった.一方,IGF-1受容体の発現とWHO分類の悪性度との相関傾向が見られた(p=0.051).VDEはp53発現と正相関し(p=0.061),alpha-internexin発現と逆相関(p=0.094)する傾向が認められた.これらの因子を含め,妊娠がグリオーマの悪性度や成長速度に及ぼす影響のついての分子生物学的機序の解明は,グリオーマ合併妊産婦の長期予後とともに,今後の研究の課題である.

執筆者: 

牧野隆太郎   

監修者: 

有田和徳

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