GBMの遺伝子治療:骨髄由来ヒト間葉系幹細胞(hMSC)へmiRNA導入

公開日:

2018年4月10日  

最終更新日:

2018年4月17日

Inhibition of glioblastoma cell invasion by hsa-miR-145-5p and hsa-miR-31-5p co-overexpression in human mesenchymal stem cells.

Author:

R Kurogi  et al.

Affiliation:

Departments of Neurosurgery and Neuropathology, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University

⇒ PubMedで読む[PMID:29521593]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2018 Mar
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

骨髄由来ヒト間葉系幹細胞(hMSC)は骨髄から採取可能な細胞で,腫瘍細胞への遊走能を有することから遺伝子治療におけるベクター(運び屋)としての有用性が指摘されている.本研究では,特定のmiRNAにトランスフェクションされたhMSCがGBM細胞標本の浸潤性にもたらす変化を検証した.GBM細胞標本にはU87,U251,LN229を,腫瘍浸潤の評価にはマトリゲル™ 細胞浸潤チャンバーを用いた.

【結論】

U87よりhMSCに発現が優位であった8つのmiRNAが抽出され,hsa-miR-127-3p,-145-5p,-31-5pの3つがU87増殖抑制を示した.このうちhas-miR-145-5p,-31-5pの共導入時に最も腫瘍抑制が強かった.この効果は他のGBM標本(U251,LN229)においても同様であった.さらに本hMSCはコントロール群に比して,マウス脳サンプルでの共培養下においてもU87の増殖抑制に優れた.hsa-miR-145-5p,-31-5pの影響下では,U87の58,341遺伝子中972遺伝子(発現上昇367,発現低下605)に変化が見られ,これらのうちFSCN1は有意に発現低下をきたす遺伝子と評価された.

【評価】

現在広く利用されているベクターとしてアデノ随伴ウイルス(AAV),アデノウイルス,レトロウイルスなどがあるが,発現期間が短いことや発がん性から遺伝子治療には不向きだという指摘があった.本稿では,hMSCに特定のmiRNAをトランスフェクションするとグリオーマの増殖が抑制されることが示された.hsa-miR-145-5p,-31-5pの共導入により発現低下が認められたFSCN1はactinを束ねる蛋白をコードしている遺伝子だが,グリオーマの形態や悪性度に関与し,悪性予後と相関する事が知られている.遺伝子治療におけるベクターとしての応用が期待されているものとして間葉系幹細胞の他に神経幹細胞,iPS細胞を利用したものなどがあり,これらについても同様に研究が進むものと思われる.今回同定されたmiRNAは細胞株によって,異なる機能を示すことも示唆されており,この点については発がん性の有無などと同様に今後の検証が求められる.

執筆者: 

牧野隆太郎   

監修者: 

有田和徳

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