多発脳動脈瘤の危険因子:単発例との違い

公開日:

2018年4月17日  

最終更新日:

2018年4月17日

Demographic and clinical predictors of multiple intracranial aneurysms in patients with subarachnoid hemorrhage.

Author:

McDowell MM  et al.

Affiliation:

Department of Neurological Surgery, University of Pittsburgh, Pennsylvania

⇒ PubMedで読む[PMID:28598275]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2018 Apr
巻数:128(4)
開始ページ:961

【背景】

脳動脈瘤はクモ膜下出血の主要な原因である.Pittsburgh大学のMcDowellらは1996年からの16年間にSubarachnoid Hemorrhage Outcomes Project(SHOP)に登録されたSAH症例のうち,非脳動脈瘤(外傷性など)を除外した1,277症例(動脈瘤数:1個 890例,2個 267例,3個以上 120例)を対象に,多発例の特徴を検討した.

【結論】

単発例を基本ケースとした多項回帰分析の結果,脳動脈瘤が2個の群では女性(p<0.001),BMI高値(p=0.003),長い喫煙歴(p=0.004),黒人(p=0.001).3個以上の群では女性(p<0.001),BMI高値(p<0.001),椎骨脳底動脈系の動脈瘤(p<0.001),黒人(p=0.001)が,それぞれ多発脳動脈瘤のリスク因子であることがわかった.調整後多変量多項モデル解析では,女性,長い喫煙歴,BMI高値,椎骨脳底動脈系の動脈瘤,黒人が多発脳動脈瘤の独立した危険因子であった.

【評価】

本研究は,過去最大規模の患者集団で,多発脳動脈瘤の危険因子を検討したものである.これまでも,多発脳動脈瘤の危険因子として女性,高齢者,喫煙者,高血圧などが指摘されてきた(文献1,2).脂質代謝が多発脳動脈瘤の発生に関与するとの指摘は過去にあったが(文献2),BMI値の有意性を示したのは意外にも本稿が初めてである.脂肪細胞がマクロファージやリンパ球などの炎症細胞を活性化する事で血管内皮細胞を傷害する機序が考えられており,実際に未破裂動脈瘤内や破裂動脈瘤組織などに炎症細胞が多く浸潤しているとの報告がある.女性という性も炎症促進性と関与しているという報告がある(文献3).今後の研究によって,肥満が脳動脈瘤多発の危険因子であることが明確になれば,破裂脳動脈瘤治療後の患者への生活指導として,禁煙とともに減量が具体的課題となってくるであろう.
本報告は多数例での検討であるが,単施設研究による選択バイアスが懸念される点や破裂動脈瘤(クモ膜下出血症例)のみが対象であるという問題点が上げられる.本邦における豊富な未破裂動脈瘤のデータベースではどうなのか,本邦からの発信に期待したい.

執筆者: 

牧野隆太郎   

監修者: 

有田和徳

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