クモ膜下出血後のシャントが必要になりやすいのはクリッピングかコイリングか?

公開日:

2018年5月14日  

最終更新日:

2018年5月15日

Effect of choice of treatment modality on the incidence of shunt-dependent hydrocephalus after aneurysmal subarachnoid hemorrhage.

Author:

Koyanagi M  et al.

Affiliation:

Department of Neurosurgery, National Hospital Organization Himeji Medical Center, Himeji, Japan

⇒ PubMedで読む[PMID:29521594]

ジャーナル名:J Neurosurg.
発行年月:2018 Mar
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

破裂動脈瘤(クモ膜下出血)の治療に血管内手術(コイリング)が導入されて久しいが,クモ膜下出血後のシャント依存性水頭症(shunt dependent hydrocephalus:SDHC)の頻度はどちらが少ないのか,姫路医療センターのKoyanagiらは傾向スコア(propensity score)分析という手法を用いて,この問題に応えた.対象は動脈瘤破裂によるクモ膜下出血の566例.

【結論】

127例(22%)がSDHCとなった.多変量解析では53歳以上,脳室内出血の存在,コイリングではなくクリッピングがSDHCに関与する独立した因子であった.傾向スコアマッチングによって抽出された136例の血管内手術患者と136例のクリッピング患者が比較された.血管内手術群ではクリッピングに比較して有意にSDHCは少なかった(16% vs 30%,p=0.009;OR 2.2,95% CI 1.2〜4.2).SDHCは退院時のアウトカム不良(mRS:3〜6)と独立して相関していた(OR 4.3,95% CI 2.6〜7.3;p<0.001).

【評価】

本研究は後ろ向きの観察研究であるため,治療法選択におけるバイアスを軽減するために傾向スコアマッチングの手法を用いて,血管内治療群ではクリッピングに比較して有意にSDHCが少ないことを証明した.この結果は,最近出版されたJapanese Stroke Data Bankのデータとも一致している(文献1).一方,クリッピング手術に際して第三脳室前端(終板)を開放することによって,SDHCを低く抑えることが出来るという報告もあるが,見解の一致はない(文献2,3).SDHCは神経学的なアウトカム不良と相関していたが,その他のアウトカム不良因子としては高齢,入院時の悪いグレーディング,大型動脈瘤,脳内出血の存在が上げられた.SDHCの神経症状はシャント留置によって改善するが,シャントの機能不全,再建,感染症,在院期間の延長,医療経済上の負荷などを考慮すれば,SDHCのリスクは少ない方が良く,血管内治療の選択はこの観点からも前向きに考慮されるべきであろう.

執筆者: 

有田和徳

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