全身状態の良い高齢膠芽腫患者では,短期放射線照射にテモゾロミド

公開日:

2018年5月14日  

最終更新日:

2018年5月16日

Short-Course Radiation plus Temozolomide in Elderly Patients with Glioblastoma.

Author:

Perry J  et al.

Affiliation:

Odette Cancer Centre, Sunnybrook Health Sciences Centre, Toronto, ON M4N 3M5, Canada

⇒ PubMedで読む[PMID:28296618]

ジャーナル名:N Engl J Med.
発行年月:2017 Mar
巻数:376(11)
開始ページ:1027

【背景】

70歳以下の膠芽腫患者では,通常の60Gy照射にテモゾロミドを加えることによってOSが延長することは証明されている.最近,高齢者ではより短期間の照射(寡分割照射)が行われることが多いが,短期照射に対するテモゾロミドの上乗せ効果は証明されていない.ヨーロッパとカナダを中心とするこのRCT(NCT00482677)では,65歳以上の初発膠芽腫症例を40Gy/15回の短期照射単独群(281例)と短期照射+テモゾロミド併用群(281例)に分けて比較した.

【結論】

全生存期間(OS)も無増悪生存期間(PFS)もテモゾロミド併用群の方が短期照射単独群より有意に長かった (OS:9.3 vs. 7.6ヵ月,P<0.001,PFS:5.3 vs. 3.9ヵ月,P<0.001).OSの差は,MGMTプロモーターのメチル化症例(165例)において,非メチル化症例(189例)より顕著であった(MGMTメチル化症例 13.5 vs. 7.7ヵ月,P<0.001,MGMT非メチル化症例 10.0 vs. 7.9ヵ月,P=0.08).

【評価】

この研究の背景になっているのは,①高齢の膠芽腫患者においても放射線照射が生存期間の延長をもたらす(文献1),②寡分割(短期)照射は通常の多分割照射と同等か同等以上の効果をもたらす(文献2,3),③短期照射の方が多分割照射よりも治療完遂率が高い(文献3),④高齢者においてもTMZ投与は有用であり,特にMGMTプロモーターメチル化症例ではTMZ投与の効果が高いという事実(文献4)である.本研究の目的は,高齢膠芽腫患者において効果が示されて来た短期放射線照射にテモゾロミドを追加することによる生存期間延長効果を明らかにすることであった.その結果,高齢膠芽腫患者では,短期放射線照射にテモゾロミドを併用することによってOSもPFSも有意に延長することが明らかになった.特にMGMTプロもターメチル化症例においてその併用効果は高かった.
注意すべきは,本研究は,ECOG performance status (PS) 1,2という高齢膠芽腫患者の中ではかなり全身状態が良い患者が対象となっており,特に軽作業可能以上(PS 0,1)が3/4を占めるというセレクトされた集団であることである.今後は少なくとも, 全身状態が良好でMGMTプロモーターメチル化を有する高齢膠芽腫患者においては短期放射線照射とテモゾロミドの併用が治療のスタンダードとなると思われる.この治療戦略は単に生存期間の延長のみならず,生命予後が限られている高齢膠芽腫患者の治療期間,在院日数を短縮することによるQOLの維持という観点からも推奨し得る.なお本研究には日本からも17例が登録されている.

執筆者: 

有田和徳

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