脳出血の増大を予測する4大因子とスポットサイン:メタ解析から

公開日:

2018年9月11日  

最終更新日:

2018年9月20日

Absolute risk and predictors of the growth of acute spontaneous intracerebral haemorrhage: a systematic review and meta-analysis of individual patient data.

Author:

Al-Shahi Salman R  et al.

Affiliation:

Centre for Clinical Brain Sciences University of Edinburgh, Edinburgh, UK

⇒ PubMedで読む[PMID:30120039]

ジャーナル名:Lancet Neurol.
発行年月:2018 Aug
巻数:[Epub ahead of print]
開始ページ:

【背景】

急性期脳内出血の増大を予測する因子については報告が多いが,まだコンセンサスはない.最近,造影CT血管撮影(CTA)におけるスポットサインの有用性についても報告されているが,このサインが他の因子による予測モデルにどのような影響をもらしているかも明らかではない.エジンバラ大学のAl-Shahi Salmanらは,系統的なメタ解析で既報の35コホートから,150 mL以内の血腫体積で,発症0.5〜24時間に初回CTが撮影され,6日以内にCTが再検され,検討の対象としたデータセットが揃っている5,435例を収集して,血腫増大に寄与する因子の検討を行った.このうち868例に急性期にCT血管造影が施行されていた.

【結論】

多変量解析では,発症から初回CTまでの時間(短い方が増大しやすい)(OR:0.50,p<0.0001),初回CTの血腫量(75 ccが最も危険)(33 cc vs. 6 ccでOR:7.18,p<0.0001),抗血小板剤の使用(OR:1.68,p=0.026),抗凝固剤の使用(OR:3.48,p<0.0001)は,独立した血腫増大因子であり,これら4因子のモデルのROC解析ではC統計値(AUC)は0.78であった.これらのモデルに,やはり独立した増大因子であるCTAのスポットサイン(4.46,p<0.0001)を加えれば,C統計値(AUC)は0.05上昇した.

【評価】

脳内出血患者における急性期の血腫増大は20〜40%で認められ,生命予後,機能予後に甚大な影響を与えることは良く知られている.血腫増大の因子としては,初回CTにおける血腫量,初回CTまでの時間,高血圧,飲酒歴,抗血小板薬の使用,抗凝固薬の使用などの要因以外に,CT上の血腫の不整な形状,血腫内部の不均一などが報告されている.血腫内部吸収値の不均一は,出血時間の違いを,言い換えれば出血が一回では終わっていないことを反映している.“blend sign”や“black hole sign”も血腫内部の不均一を示す所見である(文献1,2).一方,造影CTにおけるspot signは直接に造影剤の血管外への漏出を観察しており,高い精度で血腫増大を予測することが報告されてきた(文献3).
本研究では過去の報告から,個々の症例レベルでの解析が可能な5,435例という過去最大のコホートを用いて,血腫増大と関係する因子を検索したものである.抗凝固剤の服用の他,血腫増大に寄与する可能性のある13の因子(性,年齢,過去の脳卒中,喫煙歴,抗血小板剤の服用,糖尿病歴,受診時収縮期血圧,受診時血糖値,GCS,初回CTまでの時間,血腫の大きさ,血腫の部位,脳室内血腫)について多変量解析を行った結果,発症から初回CTまでの時間,初回CTの血腫量,抗血小板剤の使用,抗凝固剤の使用,CTAのスポットサインは独立した血腫増大因子であった.
注目すべきは,シンプルな臨床データである前4者の組み合わせによってもROCカーブはC統計値(AUC)が0.78と高い精度を示したことである.一方,確かにCTAのスポットサインは,それを加えることによってその精度は向上したが,C統計値(AUC)の増加は0.05とわずかであった.
著者らが予測精度の向上を“slight”あるいは“small”と評価したCTAを脳内血腫のルーチンの検査に加えるべきかは,今後,十分な検討が必要な感がする.

執筆者: 

田中俊一   

監修者: 

有田和徳

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